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12月07日-03号

  • "設計調査費"(/)
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  1. 熊本県議会 2016-12-07
    12月07日-03号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
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    平成28年12月 定例会               第 3 号              (12月7日)  平成28年  熊本県議会12月定例会会議録     第3号平成28年12月7日(水曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第3号  平成28年12月7日(水曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(46人)            松 野 明 美 さん            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            山 本 伸 裕 君            西 山 宗 孝 君            岩 田 智 子 さん            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            前 田 憲 秀 君            濱 田 大 造 君            磯 田   毅 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            浦 田 祐三子 さん            荒 木 章 博 君            西   聖 一 君            山 口   裕 君            早 田 順 一 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            森   浩 二 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            吉 永 和 世 君            岩 中 伸 司 君            城 下 広 作 君            氷 室 雄一郎 君            鎌 田   聡 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            小 杉   直 君            前 川   收 君            村 上 寅 美 君            西 岡 勝 成 君            山 本 秀 久 君欠席議員氏名(1人)            松 田 三 郎 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    小 野 泰 輔 君     知事公室長  坂 本   浩 君     総務部長   池 田 敬 之 君     企画振興部長 島 崎 征 夫 君     健康福祉部長 古 閑 陽 一 君     環境生活部長 田 代 裕 信 君     商工観光労働            奥 薗 惣 幸 君     部長     農林水産部長 濱 田 義 之 君     土木部長   手 島 健 司 君     会計管理者  出 田 貴 康 君     企業局長   五 嶋 道 也 君     病院事業            永 井 正 幸 君     管理者     教育長    宮 尾 千加子 さん     警察本部長  後 藤 和 宏 君     人事委員会            山 口 達 人 君     事務局長     監査委員   豊 田 祐 一 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 田 勝 也     事務局次長            中 島 昭 則     兼総務課長     議事課長   中 原 敬 喜     審議員兼            村 田 竜 二     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(吉永和世君) これより本日の会議を開きます。     ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(吉永和世君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 山本伸裕君。  〔山本伸裕君登壇〕(拍手) ◆(山本伸裕君) おはようございます。日本共産党の山本伸裕でございます。通告に基づきまして、一般質問を行わせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 震災と記録的豪雨、阿蘇の噴火など、ことし、熊本は、深刻な自然災害に見舞われ続けました。熊本県も、知事先頭に、職員の方々、日夜大変な御奮闘、御苦労が続くと思いますが、被災者の生活となりわいの再建のために、国や市町村とも連携し、住民の困難にきめ細かく寄り添った息の長い支援を、今後も強めていただきたいと思います。 日本共産党は、地震から半年が経過したことを機に、改めて被災市町村を回り、アンケート調査を行いました。このことを通じて、私は、被災者の生活再建を支援する制度の改善、拡充が重要な課題となっていることを実感しています。とりわけ、私が何としても実現しなければならないと感じているのが、一部損壊に対する支援制度であります。 私は、被災した自治体の日本共産党地方議員らとともに、5月、7月、そして10月と、対政府交渉を行ってまいりましたが、内閣府の担当者から、一部損壊というのは、修理をしなくても差し当たり日常生活に支障のない範囲内の損害であるから、支援の対象とならないとの説明でした。私は、政府のお役人は実態をわかっておられないなと、率直に感じました。 具体例を紹介します。熊本市に住むAさん94歳の住宅は、屋根が破損し、雨漏りが発生したため、ブルーシートで屋根を覆うだけでなく、部屋の中にもシートを広げ、畳が腐らないようにしました。瓦が吹き飛ばないように、何本ものロープで屋根が固定されました。Aさんは、どうせ先は長くないからと修理をためらっておられましたが、それでもやはりこのままでは住めないということで、2カ月分の年金を全てはたいて修理せざるを得ませんでした。また、御船町のBさん宅は、地震によって住宅が沈下、床にビー玉を置くと、ころころと転がり出します。瓦も落ち、ブロック塀は倒れ、壁には亀裂が入りました。しかし、1次判定、2次判定ともに一部損壊であります。 こうした住宅が、差し当たり日常生活に支障のない範囲内の損害であるはずがないのであります。被害判定の現行制度そのものに問題があると言わなければなりません。 罹災判定は、損害割合19%以下と判定されれば一部損壊、20%以上は半壊となります。たとえたった1ポイントでも足りなければ、一部損壊には、被災者生活再建支援制度は適用されないし、応急修理制度も使えません。仮設住宅への入居資格もないし、解体せざるを得ない状況であったとしても、公費解体の適用もありません。災害援護資金貸し付けの制度も使えません。国保、後期高齢者医療の窓口免除もありません。介護保険サービス利用料の猶予、免除もありません。要するに、一部損壊には何の支援もないということであります。ある被災者の方から、一部損壊の判定を受け、あなたは被災者ではありませんと宣告されたような気持ちになったと言われた言葉が胸に刺さりました。 日本共産党が行った被災者アンケートでは、一部損壊と判定された方約280人からお話を伺うことができました。修理代に幾らの費用がかかりましたかというお尋ねに対し、100万円未満が47%、100万円から300万円が36%、300万円以上かかったのが15%、1,000万円以上かかったという方も3%ありました。 義援金配分委員会は、11月29日、修理費用100万円以上の一部損壊住家に対し、10万円の義援金を配分することを決めました。自治体の首長さんから要望が上がり、検討が進められてきたと伺っております。これは、一部損壊に対して、何の公的支援策もないという現行制度の問題が、ますます浮き彫りになったということでもあります。 先月、最大震度6の地震が発生した鳥取県では、発災後4日目にして、一部損壊に対する支援を決定しました。損壊割合10%以上の一部損壊に最大30万円、10%未満に最大5万円であります。岩手県でも、県独自に、半壊及び一部損壊の住家に対し、上限30万円として補修費用の半額補助を行っています。 熊本県が、政府に対し、一部損壊への支援制度創設を求めておられることは承知していますが、一部損壊への支援が必要だという認識がおありならば、熊本県として、いち早く独自の支援策を打ち出し、それに対して国が財政のバックアップをするよう求めるべきではないでしょうか。 以上、健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長古閑陽一君登壇〕 ◎健康福祉部長(古閑陽一君) 今回の熊本地震のような大規模災害時における被災者の生活再建支援については、昨日、知事がお答えしましたように、国において検討すべき課題と考えております。 このため、国に対し、被災者生活再建支援制度について、一部損壊世帯への支援の拡充を要望しているところです。 このほか、一部損壊世帯への支援については、住家の修理に要する経済的負担が大きい被災者の負担を軽減するため、熊本地震義援金配分委員会において、修理費100万円以上の世帯に対して、義援金10万円を配分することが決まっているところでございます。 県としましては、熊本地震の被害が甚大である中、本県の財政状況を考慮しますと、現時点では、一部損壊世帯への独自の支援は難しいと考えております。このため、まずは国による一部損壊世帯への支援が実現するよう、引き続き粘り強く要望してまいります。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 一部損壊世帯に対する公的支援については、国に対して要望しているとの御答弁でありますが、私は、被災者の被害の程度に応じた支援が適用されるように、制度そのものをつくりかえることが必要だと考えます。 災害列島日本であります。今後もどこかで大規模災害が起こる危険性を考えるならば、支援制度の改善を図ることは、熊本の被災者支援ということにとどまらない、全国的な意義があるものと考えます。それが被災地熊本に寄せていただいた全国からの善意に対する恩返しにもなろうかと思います。熊本地震の教訓を踏まえ、現在の制度の欠陥をただす独自の制度を創設すること、これこそ真の創造的復興ではないでしょうか。ぜひ実現を求めたいと思います。 次に、宅地被害についてお尋ねします。 まず、大規模な液状化被害及び大規模盛り土造成地の滑動被害についてであります。 被災から8カ月がたとうとしているのに、なかなか先の見通しが示されないことに、被災者の皆さんは混迷を深めています。 造成地の大規模な崩落が発生しているニュータウン三光団地において、11月に熊本市が行った住民説明会に参加させていただきました。住民の方のお話によると、今も亀裂が徐々に広がっているとのことであります。一刻も早く対策をとることが必要です。 一定規模以上の造成地被害に対する国の事業としては、大規模盛土造成地滑動崩落防止事業、液状化に対しては宅地液状化防止事業があります。今回、東日本大震災並みに補助率が2分の1にかさ上げをされました。しかし、それでも住民負担があるとなると、果たして住民の理解と合意が得られるかどうか、事業そのものが成立するかどうかという問題にぶつかります。 そういう点では、国、県の支援で抜本的に補助率を引き上げることがどうしても必要だと私は思います。現在、国が宅地被害についての支援メニューを検討しているとのことでありますが、その際、補助率を抜本的に引き上げて、地元負担、住民負担をなくしてほしいということを国に求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。 次に、大規模事業にのらない宅地被害についてお尋ねします。 6月13日、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業及び災害関連地域防災がけ崩れ対策事業の採択要件が緩和されました。しかし、なお、事業の要件に適合しない宅地被害が、相当存在することは明らかであります。 中越地震を経験した新潟県は、自宅のり面の保護、排水施設の設置、整地、擁壁の設置、地盤調査、その他被災宅地の復旧に必要な工事で、市町村が認めたものを対象として、400万円までの工事について2分の1、400万円以上の工事について3分の2を補助する独自の事業をつくっています。 岩手県の場合、のり面保護、排水施設の設置、地盤の補強及び整地、擁壁の設置及び補強、旧擁壁の除去、地盤調査及び設計調査費その他被災宅地の安全性の回復に必要な被災宅地復旧工事に要する経費を対象として、200万円を上限として2分の1補助を行っています。 熊本県としても、独自の宅地復旧支援制度をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 次に、耐震化補助の問題であります。 9月県議会で、土木部長から、補助事業創設を含めた住宅耐震化のさらなる促進策を検討していくとの御発言がありました。ちなみに、岩手県では、生活再建住宅支援事業として、被災宅地の補修、改修、耐震化、バリアフリー、県産材使用に対して、170万円を上限として2分の1補助を行っています。 熊本県は、現在、耐震診断についての費用を補助するという点で検討が進められていると伺っておりますが、ぜひ工事費用に対しても補助制度を御検討いただきたいと思います。 益城町の県道熊本高森線の4車線化につきましては、もちろん町からも要望が上がっていることは承知しておりますが、コミュニティーの存続や交通量の増大による安全性や騒音、振動などへの懸念、既存商店や事業所の存続や移転問題、生活の利便性にかかわる問題なども絡んでまいります。あくまで住民の納得、合意を前提に具体化することが大事であろうかと思いますが、いかがでしょうか。 以上、土木部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長手島健司君登壇〕 ◎土木部長(手島健司君) 1点目の地盤・宅地被害への支援についてお答えします。 今回の地震により多数の宅地被害が発生していますが、これらの被害は、公共土木施設災害復旧事業の対象とはならないことから、被災者の負担の最小化を図るため、既存国庫補助制度の拡充などの国に対する要望を重ねて行ってまいりました。 その結果、国においては、対象要件の緩和や補助率のかさ上げ、地方負担軽減のための財政措置の拡充について対応していただいています。 しかしながら、こうした対象要件の緩和を踏まえても、国庫補助の対象とならない小規模な擁壁等の宅地被害が残ることから、さらなる制度拡充についても要望しておりますが、県独自の宅地復旧支援制度として、国庫補助事業に該当しない復旧工事費用に対する一部支援を、復興基金を活用して行うこととしています。 2点目の住宅耐震化の支援についてですが、住宅診断や改修工事に国庫補助制度はあるものの、市町村の負担が大きく、県内市町村では補助制度の活用が進んできませんでした。 今回、住宅の安全、安心の確保を推進するため、県民の関心が高い木造住宅の耐震診断について、全市町村において補助制度が活用できるよう、今定例会に復興基金を活用した補正予算を提案しています。 また、木造住宅の耐震改修工事についても、国庫補助制度の活用ができるよう、市町村の取り組みへの支援策を引き続き検討してまいります。 3点目の県道熊本高森線の4車線化については、将来の道路拡幅のため都市計画決定を行いますが、この都市計画決定に当たっては、計画案に関する公聴会や公告縦覧による意見聴取及び都市計画審議会など、住民の意見を反映させるための手続を経ることとなっています。 本路線の円滑な事業推進を図る観点からも、関係権利者の意向確認や意見聴取をしっかりと行うことが重要と考えており、被災地の現状を踏まえ、これらの手続を丁寧に進めてまいります。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 基金で宅地支援、耐震診断支援を行うとの御答弁がありました。 独自に支援制度をつくろうという県の積極姿勢は評価しますが、やはりどうしても自己負担が高額になることから、全国的な過去の事例でも、大規模宅地被害については容易に事業が進んでいません。問題を解決する上で最善の解決策は、住民負担の最小化以外にありません。ぜひ、そのことを強く国に求めていただきたいと思います。 また、今後、災害に強いまちづくりについても検討が深められていくものと思いますが、今回の宅地被害の教訓を踏まえるならば、もともとは河川であった箇所とか斜面を切り開いて盛り土をされた箇所とかは、無秩序な宅地開発は抑制的であるべきであり、防災対策を義務づけるなどの対応が必要ではないでしょうか。 また、地盤被害の危険性がある箇所のハザードマップ整備と住民への情報提供、上下水道の耐震化工事なども、市町村と連携して進められるように要望します。 次に、農業被害、とりわけ中山間地域における災害復旧についてお尋ねします。 熊本地震と6月の記録的豪雨による土砂崩落は、県下各地に深刻な被害をもたらしました。 私が御船町の被害状況を視察した9月の時点では、棚田のあぜがあちこちで壊れ、田畑や用水路に土砂が流れ込み、農業用水が枯渇し、雑草が生え、イノシシの通り道になっているという痛々しい状況でありました。被害箇所が余りにも多過ぎるために、災害査定すら進まない状況となっています。 被害を受けた多くの田畑では、ことしの収穫を断念せざるを得ませんでした。災害査定や復旧工事が進まなければ、来年の作付にも間に合わないという事態にもなりかねません。そうなると、いよいよ農地は荒廃し、営農再開への道は厳しいものとなります。 知事は、議案説明で、ほぼ全ての農業者が離農することなく、経営再建が進められていると強調されましたが、これから深刻な事態がますます顕在化してくるのではないでしょうか。 災害査定を何としても年内には終了させ、復旧工事を急ぎ、水を流し、農地を回復させ、来年の作付に間に合わせるという見通しを市町村や農家の方々に示し、展望を指し示すことが必要であります。 農業を守ることは、県民の食の安全を守ること、環境を保全し、地域経済を守ることでもあります。ただ、中山間地農業は、大規模化や農地集積が容易ではなく、零細規模の家族経営が中心、高齢化も進んでいます。だからこそ、激甚に指定された農地被害では平均95%、農業用施設では平均で98%という高い補助率が実現している必然性があると思います。 ところが、ここで大きな不安のもととなっているのが農地の復旧限度額であります。これを超えた部分については国庫補助の対象とならないため、地元自治体や農家の負担になります。 中山間地域においては、地形的な条件から、工事費が大きくなる傾向があります。できる限り復旧限度額を超えないよう、復旧工事を限度額のない農業用施設の工事とうまく組み合わせるとか、工法選択の工夫であるとか、災害査定官が被災の状況に応じてうまく制度が使えるように支援していくことなどが大変重要であろうかと思います。 また、より根本的には、やはりこの限度額というものについて、国に対し、要件緩和あるいは撤廃を強く求めていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 あわせて、被災農業者向け経営体育成支援事業でありますが、農業用に使っている軽トラックがなぜ対象にならないのか、納屋に軽トラックを入れていたら、その分の面積が差し引かれるのはおかしい、今後も農業を継続することが条件になっているが、その期間が17年など長過ぎるなどの点については、ぜひ改善を求めていくべきではないでしょうか。 以上、農林水産部長の御答弁を願います。  〔農林水産部長濱田義之君登壇〕 ◎農林水産部長(濱田義之君) 熊本地震と梅雨前線豪雨の災害を合わせました農地及び農業用施設の被害額は約940億円に上りまして、過去30年間分の被害総額に匹敵する規模となってございます。 議員から御紹介ありました御船町では、708件の農地等災害復旧事業を計画されておりまして、今般導入されました査定の簡素化も図りながら、年内の災害査定完了に向け取り組まれております。 査定が完了しますと、速やかに、農業用水路など農家が共同で利用する施設、これを優先しまして復旧工事に取りかかり、耕作できない農地を極力減らそうという方針でございます。 また、農家負担の軽減についてでございますが、熊本地震及び梅雨前線豪雨とも激甚災害の指定を受けてございます。農地の災害復旧に係ります国庫補助率は、95%近くまでかさ上げされるなど、農家負担は大幅に軽減されることになります。 さらに、農業施設に至りましては、復旧額が15万円を超える部分は補助率が100%となるため、農家1戸当たりの負担は最大でも3万5,000円と、極限まで軽減されることになります。 そこで、御指摘の復旧限度額でございますけれども、いわゆる暫定法では、この額を超える分は、災害復旧といえども、経済効果が著しく低いとして補助事業の適用除外とされております。ただし、中山間地域のような傾斜のある農地については、この限度額も最大1.9倍まで引き上げられます。 そこで、具体的に、御船町において既に農地の災害査定が完了した132カ所の状況を申し上げます。 この132カ所のうち、復旧限度額を超えた農地は10カ所、率にして8%でございました。この10カ所について申し上げれば、補助対象、補助対象外をならしても、補助率は87%と依然として高く、1カ所当たりの農家負担額も28万8,000円にとどまる状況でございます。 また、県では、御船町を技術的に支援するため、県の技術職員を役場に常駐させております。農政局の災害担当官と県職員が一緒に現場に赴きまして、例えば積みブロックと土羽を併用する工法を採用するなどしまして、この復旧限度額を念頭に置いた工法の指導、助言も行ってまいりました。 このように、激甚指定による災害復旧事業、これを最大限に活用し、また、地震に起因する小規模被災農地の自力復旧に際しては、復興基金も活用しながら、農家負担の軽減を図りつつ、被災農地の早期の復旧に努めてまいります。 第2点目の被災農業者向け経営体育成支援事業についてでございます。 県では、被災者の不安を払拭し、営農の再開と継続を第一に考えまして、発災後、国に対し、この制度の早急な発動とあわせ、補助率を5割引き上げること、農業用機械の修繕や加工施設も対象とすること、さらには地域営農組織の構成員も対象にすることなど、制度の大幅な拡充もあわせて求めてまいりました。 この結果、国では、予備費及びその後の補正予算を通じて、本県の要望を全て実現をいただきました。また、その後の現場からの運用改善の要望に対しましても、国の理解を得ながら、できる限りの対応をしてきたところでございます。 こうした中で、議員御指摘の軽トラックでございますけれども、生活上の利用も可能であるため、本来の事業でも、他の農林水産省所管の事業でも、助成対象とはなってございません。同様の考え方から、農機具格納庫や作業場の一部を軽トラックの車庫として利用する場合も、その部分は除外されるということになります。 また、農業者に一定期間の営農継続を求めている点についてでございますが、補助事業により整備した施設などは、いわゆる補助金適正化法に基づきまして、耐用年数の間はその処分が制限をされます。例えば、木造の農業用倉庫を再建した場合、その耐用年数の17年間は営農に活用していただく必要がございます。 ただし、これは、その申請者本人のみに営農継続を求めるものではございません。高齢などで営農の継続が困難になった場合には、後継者あるいは営農の承継者、これに施設などを譲渡して活用することが可能でございます。 今後とも、熊本地震からの一日も早い復旧、復興に必要なものについては、県議会、県選出国会議員団、そして市町村等と一体となって、国に働きかけてまいります。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 私は、今回の地震と豪雨による農業被害は、まさに熊本の農業と農村がかつてない危機に直面しているという認識を持っております。 例えば、御答弁がありました御船町の災害査定の件でありますが、災害査定対象箇所708件ということでありましたが、査定が完了したのは132件ということであります。まだ手がついていない箇所が山ほどございます。農林水産部長は、年内に農業関係の災害査定を完了させ、来年の作付には間に合うよう、農業用施設及び農地を復旧させたいと言われましたが、相当厳しい状況があることは間違いありません。 県農林水産部が大変御苦労されていることは十分承知しておりますが、相当な危機感を持って、県内の自治体や他県、あるいはさらに全国に抜本的な支援強化を求め、査定や復旧工事を早急に進める必要があると思いますし、また、農家が営農継続の意欲を持てるような支援策を、県としてぜひ示していただきたいと思います。 以上、ここまで、熊本地震からの復旧、復興の問題に関して、県として独自の支援制度を充実させるべきではないかと申し上げてまいりました。 先日、元鳥取県知事で慶応大学教授の片山善博さんが熊本市で講演をされましたが、鳥取県知事時代に鳥取県西部地震の復興に取り組まれた際のお話が印象的であります。地震の翌日から避難所を回った、そうすると、住宅をなくした被災者が悲嘆に暮れ、子供が住んでいるところに身を寄せることを不本意ながら考えているということが次第にわかってきた、そこで県独自の住宅再建支援制度をつくった、そうしたら、心配していた被災地からの転出者はほとんど出なくなったというお話であります。 熊本地震の被災者も、もといた住みなれた場所で、もとの生活を取り戻したいと考えている方が大多数であります。この思いに最大限寄り添い、支援することが必要ではないでしょうか。一部損壊への県独自の支援制度の創設は、そのかなめをなすものと考えます。 ただ、一部損壊への支援を決定した鳥取地震と熊本地震は、被害の規模が違う、財政的に厳しいなどの御回答もありました。確かに、県の財政は厳しい状況であると思います。今回提案されております補正の歳入予算を見ますと、新たに140億円余が県債で充てられ、今年度の合計県債額は2,041億円余となりました。27年度の12月現計予算額の2倍を超えています。 財政課が発表した来年度県予算編成方針によると、一般行政経費を今年度予算の一般財源の80%以内に抑える方針となっています。県庁OBの方からお話を伺いましたが、カット幅20%というのは聞いたことがない、想像もつかないくらい厳しい数字ではないかとの御意見でした。 地震関連などを除く投資的経費については、国から補助を受ける事業を、今年度比90%以内、県単独事業を80%以内に抑えるとしています。一方、被災市町村からも、来年度予算編成は大変厳しいものになるとの声が上がり、地元負担を最小化する特別立法制定を求めておられます。 被災者に寄り添った復興支援策をちゅうちょなく進め、同時に、自治体の財政危機を回避する上では、地元負担ゼロの特別立法制定を求めることが、どうしても避けて通れないのではないでしょうか。 知事は、10月12日の新聞取材に答え、特別立法措置について、今あえて国との争点にすべきではないと発言されたと報道されております。全国市長会・町村会が政府への要望事項を話し合う会合で、熊本地震に対する特別立法制定の要求が盛り込まれなかったのは、県が要求をトーンダウンしたとの印象を与えているからではありませんか。これからますます息の長い復興と生活再建の取り組みを進めていかなければならない。そのためにも、国に対し、特別立法の制定を引き続きはっきりと求めていく必要があるのではありませんか。 以上、知事にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 県では、県議会や県選出国会議員の皆様を初めとしたチームくまもとの力を結集し、東日本大震災を踏まえた財政負担等に係る特別な立法措置などの要望を、迅速かつ積極的に行ってきました。 その結果、補助制度の創設や補助率のかさ上げ、地方負担軽減のための財政措置の拡充など多くの項目が、国の補正予算などを通じて実現しました。また、特別な立法措置の一つとして、復興基金創設に必要な地方交付税法の改正もなされております。加えて、平成29年度税制改正において、熊本地震による被害等を踏まえた所要の税制上の措置も検討されています。 このように、本県からの要望を受けて、中には東日本大震災を超えるような支援も盛り込まれるなど、さまざまな支援制度の充実が図られ、可能な限りの財政負担の最小化が実現できています。 安倍首相からは、国会における補正予算の審議の際に、まずは、とにかくちゅうちょなくしっかりと必要なことを全てやっていただきたい、復興において必要となる財源によって地方自治体が立ち行かなくなる、財政上非常に大きなダメージをこうむることは絶対にないようにしていきたいとの力強い答弁をされています。 この安倍総理の言葉を受け、さきに述べた多くの支援制度の充実はもちろん、先日、政府が示した平成29年度予算編成の基本方針においても、熊本地震からの復興を着実に進めると明記されており、平成29年度予算においても必要な支援措置が講じられるものと認識しております。 一方、宅地被害への対応や新たなまちづくりへの支援などの残された課題もあります。また、復旧、復興には、長い年月と多額の経費が必要です。 そのため、10月下旬には、国に対して改めて、中長期の財源確保に向け、立法措置も含めた特別な財政措置を要望したところです。 今後とも、県、市町村の財政負担を最小化し、ちゅうちょなく安心感を持って復旧、復興に取り組めるよう、私が先頭に立って支援を求めてまいります。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 私は、先ほど他県の独自の支援制度を紹介しましたが、そういった制度を熊本でも実現させる上では、被害規模が甚大であるだけに、やはり国に対し、地元負担ゼロの特別立法を求めることがどうしても必要だと思います。これは多くの被災自治体の総意でもあろうかと思います。 知事は、まさに地元自治体の願いを代表し、声を大にして地元負担ゼロの特別立法制定を国に求めていただきますよう重ねて要望し、次の質問に移ります。 11月6日、熊本地震と立野渓谷と題する写真展が熊本市で開催されました。その中から、幾つかの写真をお借りしてまいりました。紹介します。 (パネルを示す)こちらは立野ダム予定地の上流にある鮎返りの滝を撮ったものであります。これが地震前の写真、そして、これが地震後の写真であります。一見して、大量の流木、土砂が崩落している様子がわかります。 そしてもう1枚(パネルを示す)これは黒川が長陽大橋に向かって流れているところを撮った写真ですが、これが地震前、そして、これが地震後であります。同じ角度から撮られたものですが、ごらんのとおり、景観が一変するほどの大規模な土砂崩落が起こっております。 この写真展を見学された方々から寄せられた一言メッセージを紹介します。火山地帯にダムは危険、立野ダムつくるな、立野出身者、あるいは、阿蘇の柱状節理、初めて知りました、世界では文化遺産になっています、日本の宝です、このまま守ってくださいなどなどであります。 多くの方々が、写真を見て足をとめ、あるいはわざわざ引き返し、スタッフの説明を興味深く聞いておられる姿が目立ちました。誰もが、このような場所にダムが計画されていることは知らなかったと驚き、大切な自然を守ってほしい、ダムは危険ではないかといった感想を寄せておられました。 圧倒的大多数の県民は、立野ダム建設を知らないし、賛成していない状況ではないかというのが私の率直な感想であります。このまま建設を推進していくことは、大きな禍根を残すのではないでしょうか。 6月議会の一般質問、そして9月議会の質疑で私は、知事に対し、立野ダム建設予定地の詳細な地質調査を政府、国土交通省に求めるべきだとお尋ねをしてきました。その根拠は、国会において、国土交通省の宮内大臣政務官が、今回の熊本地震の規模が大きかったことを踏まえまして、今後有識者を交えました詳細な調査を行うこととしておりますと答弁されたことなどにあります。 ところが、国土交通省は、その後たった2回の技術委員会開催と現地見学だけで、ダム建設に支障となるような活断層は存在しないと結論づけました。技術委員会の構成メンバーはというと、よほど国土交通省は急いで結論を出したかったのか、責任者、副責任者が従来から国交省のダム、港湾、橋などの建設に協力してきた学者の方であり、3人は国交省から給料をもらっている、いわば身内の人物であります。こんなメンバーで固めた技術委員会で、国交省の方針に逆らう検討結果が出るわけがありません。 しかし、知事は、地震の発生直後から、国会答弁を踏まえ、技術指針に沿った詳細な調査等を行ったと伺っております、技術委員会では、立野ダム建設は十分可能であるとの結論が出されたとの報告があったと、まるで人ごとのような答弁に終始されたことは、残念でありました。 そこで、あえて再度お尋ねします。 今回の熊本地震では、これまで活断層の存在が認められていなかった南阿蘇などでも地表地震断層が見つかっています。このことを考えても、過去の文献調査や外観調査だけでダム近傍に活断層は存在しないという結論を出すことは拙速ではないでしょうか。 8月17日、熊本地震住民セミナーが開催され、そこで会場から、濁川周辺の活断層は、その線を真っすぐ伸ばせば立野ダムに向かうことになるがとの質問が出されました。お答えいただいた日本活断層学会理事で広島大学准教授の熊原康博氏は、調査をしてみないとわからないが、今は危険で現場に入れない、国交省からも問い合わせがあったので、そのように回答している、調査をされるのではないでしょうかと回答しておられます。 ところが、その同じ日に、技術委員会は第3回目の会合を開き、これ以上の詳細な調査は必要ないとの結論を出しているのであります。危険で現場にすら入れない状況が続いていた中で、どんな詳細調査が行われたというのでしょうか。 知事、国交省が問題ないと言っていますから問題ありませんという御説明だけでは、県民は納得しないのではないでしょうか。改めて、県として、詳細な断層調査を行うよう国交省に求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 さらに、岩石、流木、土砂が流れ込んで、ダム放流孔が穴詰まりを起こしてしまうのではないかというお尋ねをこれまでもさせていただき、別途、国土交通省にも直接繰り返し質問をさせていただいてきましたが、結局は、爪ようじを流木に見立てた模型実験を根拠に、穴詰まりは起こしませんとの御回答であります。 そこで、次のパネルをごらんください。(パネルを示す)平成2年の阿蘇豪雨災害で古恵川が氾濫し、その後、流木対策として透過型の砂防ダムがつくられました。これが完成後のダムの写真であります。お手元に配付している資料は、申しわけありません、写真の張りつけ方が間違ってしまっております。これが正しい写真です。 国交省の説明では、立野ダムの場合、放流孔の前に設置されるスリットで流木はせきとめられ、水がたまれば流木は浮き上がると説明しています。(パネルを示す)これが平成24年の水害を受けてスリットに蓄積された土砂であります。流木はせきとめられ、浮き上がるどころか、実際の水害では、このように土砂、岩石、流木で塞がってしまうのであります。放流孔から水が流れなくなれば、大変危険な事態となります。爪ようじ実験ではなく、現実の水害を想定した検証を国交省に求めるべきではないでしょうか。 そして、穴詰まりを起こしてしまったらなおさらのことですが、詰まらなかったとしても、大雨のときには湛水域に水がたまります。そのようなときに、ダム湖に土砂が崩落してきたら、ダム津波が発生し、下流域は大きな危機に直面します。 先日、建設常任委員会で立野地域周辺の管内視察が行われました。阿蘇大橋地区では、50万立米の土砂崩落が起こりましたが、その周辺にも亀裂が生じているとのお話がありました。土砂崩落箇所の両サイドには人工林が広がっておりましたが、また新たな箇所で崩落が発生するのではないかとの危惧を抱きました。 崩れやすい土壌の阿蘇の急傾斜地には、杉、ヒノキの植林が行われている地域も多く見られます。今なお多くの亀裂が残り、余震も続いております。また、阿蘇は、全国有数の降雨量であります。 最後に、このパネルをごらんください。(パネルを示す)これは、技術委員会に出された資料で、立野ダムの湛水予定地周辺について、航空レーザー測量を用いて崩壊地を計測したものであります。こちらの――ちょっと済みません、遠くからはわかりにくいかもしれません。こちらが熊本地震発生直後、そして、こちらが6月の豪雨災害後の崩落状況であります。赤い線のところが崩落箇所を示しております。地震直後から比べると、崩壊面積は1.5倍に拡大しています。 この資料においても、地震後の降雨により斜面崩壊の範囲が少しずつ広がっていると記述されています。今後もますます土砂崩落が懸念されるところです。やはり、この地にダムをつくるというのは危ないと考えるのが普通の感覚ではないかとしか私には思えてなりません。 また、ダムは、想定を超える雨が降れば、逆に危険な存在となります。危険なリスクを避けるのが防災対策の基本ではないでしょうか。2012年の九州北部豪雨では、国管理区間では、河川整備計画に基づく工事が未完了の区域が浸水被害を受けました。 私は、おととい、現在も改修工事が進行中の熊本市蓮台寺橋から下流付近の状況を見てまいりました。国交省によると、この地点の工事は、激特事業期間終了後、新たに策定される河川整備計画に引き継がれるとのお話であります。10年以上も前から整備計画が示されていながら、工事が完了しなかったがために洪水被害が発生したことを、ダムがなかったためなどと原因をすりかえることは許されません。 国管理区間の河川改修が完了すれば、残るは県管理区間の大津、菊陽の中流域区間のみであります。ダムによらず、河川改修で水害を防ぐことは可能であります。この道こそ探究すべきではないでしょうか。 以上、知事にお尋ねをします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、断層調査についてお答えします。 立野ダム事業の主体である国は、熊本地震後改めて、航空レーザー測量、ボーリング調査、地表面や調査用トンネルを使っての基礎岩盤内の亀裂調査など、さまざまな再確認調査を実施されました。その調査をもとに、立野ダム建設に係る技術委員会で審議が行われました。 審議の結果、ダム建設に支障となるような活断層は存在しないこと、地震後もダムの基礎岩盤として健全性に問題はないとの結論が出されております。 次に、放流孔閉塞の検証についてお答えします。 これまで国は、直径や長さが異なる6種類の流木模型をまぜ合わせた実験や他のダムの事例も参考にするなど、放流孔閉塞の影響を検討されています。これらを踏まえて、技術委員会では、放流孔内に流木が固定化されるような閉塞が生じることはなく、洪水調節能力にも影響はないとの結論が出されました。 これらの結論は、各分野の第一人者から成る技術委員会で、技術指針との整合も含め、専門的な審議が尽くされたものであることから、県としては、新たな調査や検証を求める必要はないと考えています。 最後に、ダムによらない治水への転換についてですが、一つ一つのダムは、果たすべき役割や歴史的背景、事業の進捗状況、流域住民や市町村の受けとめ方など、それぞれ状況が異なります。そのため、個々の状況に応じて総合的に判断することが重要です。私は、これまで、このような考え方でそれぞれのダムについて判断してまいりました。 立野ダムについては、平成22年から24年にかけて、事業主体である国において、ダム事業の検証が行われました。その結果、コストや実現性、環境への影響などについて、他の治水対策案と比較し、立野ダム案が最も有利であると示されました。その際、県に対する意見聴取があり、立野ダム建設事業を継続する国の対応方針について、異存はない旨を回答いたしました。 また、熊本地震後には、先ほど申し上げたとおり、技術委員会で改めて検証が行われ、立野ダム建設は技術的に十分可能であるとの結論が、国から県及び関係市町村に報告されました。これを受け、下流域の市町村も、改めてダム建設推進を要望されております。 これらの経緯を踏まえ、白川水系における治水対策に対する県の考えは、これまでと変わるものではありません。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 熊本地震では、これまで認められてこなかった地表地震断層が認められたからこそ、本年度から本格的な詳細調査を行うと国会答弁があったわけであります。従来どおりの目視と文献調査のみによって出された結論をうのみにすることは到底できません。公平、公正で開かれた委員会で、時間をかけて立野ダム建設の安全性に関する調査、審議を求めていただくよう、重ねて要望します。 ダム予定地左岸の北向谷原始林は、国指定の天然記念物であり、阿蘇くじゅう国立公園の特別保護区にも指定されています。山肌を削ったり、のり面を固めたりすることなどできません。どうやって土砂崩落を防止するのでしょうか。 私が国交省にそのことをお尋ねしたら、山林の管理は国土交通省ではありませんから、林野庁のほうで防災対策をしっかり行われることと思いますなどと、これまたよそごとのような回答をされました。非常に無責任だと思います。 知事におかれましては、県民の安全にかかわる重大な問題でありますし、国交省がこう説明しているなどと受け身の答弁に終始するのでなく、ぜひ主体的に考え、国に対して物を言っていただきたいと思います。立野ダムは中止し、復旧、復興にお金を回せと、国に声を上げていただきますよう要望しまして、次の質問に移ります。 9月1日、南西地域の防衛力強化を目的として、陸上自衛隊第8師団に即応機動連隊を新設することが明らかになったと地元新聞が報じました。 第42普通科連隊を中心に、第8特科連隊や第8戦車大隊の一部隊員らが加わる1,000人規模の混合部隊で成り、大砲を備えながら戦車よりも軽く、空輸が可能となる機動戦闘車を新たに配備し、有事の際は、潜入などを行う先遣部隊に続いて投入するとしています。 私は、昨年12月県議会において、第8師団が機動師団化され、海外の戦場での最前線投入も視野に入れた戦闘集団への改編が進められていることを指摘しました。 日米両政府が結んだ政策文書である日米防衛協力の指針、いわゆる日米新ガイドラインでは、日米安保条約を地球規模の軍事同盟へと転換する方向が明記され、そのもとで自衛隊の組織改編、最新鋭兵器の増強が進められています。あわせて、自衛隊と米軍の共同交戦能力を向上させることも重視され、日米共同訓練の強化が進められています。 現在、健軍駐屯地で開催中の日米共同方面隊指揮所演習もその一環であります。安保法制の具体化という形で、自衛隊と米軍の集団的自衛権を行使する日米共同演習が熊本で行われていることは重大であります。 確かに、世界には対立や紛争が存在します。だから、自国防衛のための抑止力強化が大事だという御意見がありますが、そうすると、際限のない軍拡競争とならざるを得ません。 一方で、紛争を、武力によらず、平和的に解決していこうという動きが広がっていることは、希望ある動きではないかと私は思います。ASEAN、東南アジア諸国連合は、国連憲章の原則に基づき、武力行使の放棄と紛争の平和解決などを掲げたTAC、東南アジア友好協力条約を土台に、重層的な平和と安全保障の枠組みをつくり上げ、それを域外に広げています。このような平和の地域共同体の取り組みは、世界の平和と安定を築いていく上で、多くの教訓に富んでいます。 私は、平和憲法を持つ日本だからこそ、平和の共同体が世界に広がることを促進させることに、大きな役割を発揮することができるのではないかと思います。 自衛隊の皆さん方といえば、思い起こされるのは、熊本地震や豪雨災害の際の献身的な活動であります。被災者救済に尽力された熊本の自衛隊の皆さんが、一方で命の危機にさらされるような世界中の戦場に送り出されることを、知事はどうお感じになりますか。 軍事対軍事の対応をエスカレートさせるのではなく、平和の地域共同体を広げる上で、日本がより積極的な役割を果たすよう求めるべきではないでしょうか。知事の見解をお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 自衛隊の皆様方には、熊本地震や豪雨災害など、さまざまな場面で献身的な御支援をいただきました。その姿は、県民の安心感につながり、多くの県民が大いに勇気づけられたものと感じております。 議員から、安全保障関連法に基づく自衛隊の海外派遣を初め、防衛問題に関する見解についてお尋ねがありました。 我が国の外交・防衛政策については、国の専管事項であり、大変大きな問題です。 私自身、政治学者として個人的見解は持っておりますが、県民の間でも賛否両論あることから、知事の職にある私が、みずからの見解を発言すべきではないと考えています。そのため、この件についての発言は差し控えさせていただきます。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 11月30日から始まった日米共同方面隊指揮所演習の中身を見ると、着・上陸する敵部隊を撃破するため、共同反撃及び水陸両用作戦を焦点とし、弾道ミサイル、サイバー、特殊部隊による作戦等を含め、複合的な脅威への対応を演練とされています。 安保法制が成立した今、従来、これまでの燃料補給のような間接的な米軍支援から、米軍と一体となって武力攻撃を行うような訓練に内容が変わっています。 外交、防衛に関することについては発言を控えるという知事の姿勢は承知しておりますが、ますます熊本の自衛隊の皆さんが戦闘に巻き込まれる現実の危険性が高まっているということは、ぜひ直視しておいていただきたいと思います。 次の質問に移ります。 11月16日、第5回地域医療構想検討専門委員会が開催され、県地域医療構想の原案が示されました。病床の機能分化、連携を進めるため、従来の一般病床と療養病床を、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つに区分し、各医療機能の需要と病床の必要量を推計し定める、地域医療構想の策定作業が進められております。 熊本県でも、原案をもとに、地域部会、諮問委員会での検討を経て、今年度末までに策定完了させるとのことであります。 熊本県の病床数の推計を見ると、厚労省、2025年必要量推計よりも上回っており、地域性を考慮されたであろうことが評価できます。しかしながら、2015年病床機能報告数からは、相当数の削減となることは間違いありません。しかも、病床数が大幅に減ると算出されている地域は、おおむね既に高齢化が相当進んだ地域であったり、地域によっては、もともと医療資源の少ない地域であります。 地域医療構想の大もとにあるのは、2025年に向けて進められている医療、介護の一体改革であります。概要は、病院から患者を退院させ地域に戻し、在宅看護や介護保険が受け皿となる、地域で24時間365日、重度者でも在宅で生活できるような地域包括ケアシステムを構築するというものです。 しかし、患者を強引に地域、在宅に戻そうとしても、看護・介護体制が整っていないのが実情です。第3回各地域医療構想検討専門部会において、各地域から不安の声が出ているのは当然であります。 介護保険制度が改定され、要支援向けの介護サービスの一部が自治体の総合事業へ移りました。ところが、自治体間の取り組みは思うように進んでいません。採算が合わないので、要支援向けのサービスは行っていないという事業所もあると聞きました。 このような中で、削減目標でないとはいえ、病院からの排除につながる病床数の削減数が示されれば、関係者や患者、高齢者が不安に思うのは当然であります。 求められていることは、誰もが住み続けられる医療提供体制を実現させること、介護保険の改悪を許さず、地域、在宅の受け皿づくりをしっかりと進めていくことであります。 地域の医療実態をきめ細かくつかむとともに、医療関係者、市町村の介護分野の担当者などの声にも耳を傾け、病床数削減ありきの医療構想ではなく、今後、さらに住民本位の医療構想となるよう練り上げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長古閑陽一君登壇〕 ◎健康福祉部長(古閑陽一君) 県では、構想の策定に当たり、地域の医療・介護関係者等で構成する専門部会を11の2次医療圏ごとに設置して、検討を進めております。 検討に当たっては、現場の状況をしっかり把握するようにとの知事からの指示を受け、構想の対象となる505の全医療機関の聞き取り調査を実施し、関係者のさまざまな意見を反映するなど、丁寧な作業に努めてまいりました。 その結果、構想の原案では、将来の病床数については削減目標ではないことを明記し、また、法令に基づく推計だけではなく、聞き取り調査結果等に基づく3つの県独自推計をあわせて記載しております。 さらに、将来目指すべき医療提供体制の実現に向けても、在宅医療の充実や医療・介護従事者の養成、確保など、地域の課題や実情を踏まえた内容となっております。 今月、各地域で4回目となる専門部会を順次開催し、原案について協議を行っており、そこで出された御意見も踏まえ、年度内の構想策定を目指してまいります。 ○議長(吉永和世君) 山本伸裕君。――残り時間が少なくなりましたので、質問を簡潔に願います。〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 地域医療構想の目的は、患者の状態に応じた質の高い医療を提供できる体制を整備していくことだとのことでありますが、医療介護総合法には、限りある資源の効率的かつ効果的な活用などと、削減ありきで進めていくことが明記されており、しかも、国の役割は方針策定や支援にとどめて、サービス提供や体制づくりは自治体に押しつけ、国民に対しては、ボランティアなどに参加してサービスの担い手となるよう求めています。 県は、地域医療を守る防波堤として、くれぐれも地域の実情、関係者の意見を尊重しながら、住民に寄り添った地域医療構想を策定されるよう、御検討をお願いしたいと思います。 以上で私の質問を終わらせていただきます。 御協力ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(吉永和世君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時59分休憩     ――――――○――――――  午前11時11分開議 ○議長(吉永和世君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 西山宗孝君。  〔西山宗孝君登壇〕(拍手) ◆(西山宗孝君) おはようございます。宇土市選出の西山宗孝でございます。昨年に続き、12月県議会において質問の機会をいただき、大変ありがとうございます。昨年も緊張しましたけれども、今回も相当緊張いたしております。また、議場も今定例会に合わせて改修をしていただき、議員の皆様方とともに傍聴席を控えて質問できることを光栄に思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 さて、本年4月の熊本地震、続く6月の大水害では、県民がこれまで経験したことがない大災害となりました。加えて10月の阿蘇山の噴火と、たび重なる大災害を受け、県民生活や地域の営み、地域産業の営みに多大な影響を与える記録的な災害の年となりました。 とうとい命を奪われてしまった方々へ、ここに改めまして哀悼の意をささげます。また、被災されました県民の皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。 発災以来8カ月を迎える現在、時間の経過とともに日常に戻りつつある一方で、多くの県民の心の傷はいまだに癒やされていないのが現状であります。 発災後の対策、復旧には、蒲島知事を先頭に、県、市町村、関係団体を初め、総力で対応されてまいりました。初動期の対策後、復旧対策が少しずつ動き始めたところであります。いよいよこれからが官民合わせた復興に向けての具体的取り組みが始まるときであります。 発災以降、県議会においても、臨時会、定例会、委員会や管内外の視察のほか、市町村や国会議員、関係団体との意見交換などを重ね、その支援制度も日々進展を見せているところでございます。 蒲島知事は、3期目のマニフェストを熊本復旧・復興4カ年戦略にまとめられ、「復興を第一に、災害に強く、誇れる資産(たから)を次世代につなぎ、夢にあふれる」「熊本を創造」すると、開会日冒頭で力強く述べられました。 本日は、これを受け、宇土市を初めとした今後の災害対応に向けた緊急課題について、市民生活に密着した県政の取り組みを、限られた時間の中でしっかりと質問させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 初めに、熊本地震発災初動期の県、市町村の連携についてお尋ねをします。 平成28年4月の熊本地震では、これまでに、関連死を含め、直近で154名ものとうとい命が奪われ、住宅の全壊8,300棟余り、半壊3万2,100棟余り、そして一部損壊13万7,700棟余りと甚大な被害をもたらしました。これに関連した6月の大水害でも多くの被害が出たところであります。 また、私の地元宇土市では、災害対応の司令塔となるべき宇土市役所も崩壊寸前となるなど、住宅の全壊120棟余り、半壊1,500棟余りの被害を受けました。 一人の県議会議員として、被害の大きさを目の当たりにしてその非力さを感じる中で、地震発生直後より、早々に先輩議員の御指導のもと、チームくまもとの一員として、私なりに全力を注いでまいりました。 また、吉永議長を初め多くの同僚議員の先生方も宇土市への視察をいただき、大変勇気をいただきました。 発災直後の4月14日深夜、私は宇土市役所に駆けつけましたが、さまざまな情報が飛び交っておりました。国や県に支援物資の要請、暗闇の中で支援を待つ市民、今でもはっきりと脳裏に焼きついております。ほかの被災市町村でも同様であったかと思います。 被害の状況を把握することも大変な中、食料支援の情報不足や支援をいただいた県との連携不足など、ただただ戸惑いと大混乱の中で時間だけが過ぎていきました。 特に、発災直後の初動期における県と被災市町村との連携がいかに大事であるか、このことが極めて重要であると、そのとき身をもって感じたところでございました。 県は、8月に熊本地震の対応に関する総評をまとめています。この中で、県幹部職員や情報連絡員の市町村派遣を評価できる点に挙げています。確かに、早い段階で幹部職員を含めチームで県職員を派遣し、あわせて、指揮系統を得るために、市町村職員として任命した対応は、評価できることだと思います。 被災者の多い益城町、西原村、南阿蘇村には、幹部クラスの職員を発災翌日に派遣されました。災害で救出を待つ人たちの生存率が急激に低下する72時間内を考慮した行動であったと思います。このことは、初動対応としてスピード感のある行動であったと思います。 一方で、応援に行っても状況の把握や市町村との連携がスムーズにいかなかった市町村、物資支援のあり方では、国、県、市町村などにおける指揮系統、役割分担、情報の共有化が困難であったとの指摘もされています。 職員自身も、被災市町村が機能していないことから、うまく動けなかったこともあり、応援職員を受け入れる体制、いわゆる被災市町村の受援体制にも課題があったと総評されています。 そこで、今回の地震対応の課題を把握し、今後の大規模災害が発生した際に備えるためにも、まずは発災直後の初動期の連携体制が最優先とする課題であります。人的配置こそが最も重要であるとの認識から、県、被災市町村との連携の課題及び対応について、知事公室長に今後の取り組みとお考えをお尋ねしたいと思います。  〔知事公室長坂本浩君登壇〕 ◎知事公室長(坂本浩君) 人命救助など一刻を争う初動期においては、災害対応のかなめである市町村の対応力が大変重要となってきます。 そのため、県では、災害対応に熟練した自衛隊OBの職員を、市町村の初動対応訓練に派遣し、技術的な助言を行うことで、その対応力の向上に努めてきたところです。 また、平成25年度から、県職員を対象とした災害派遣先での業務等についての研修を実施してまいりました。 災害対応の初動期に最も重要なことは、情報連携です。しかし、今回の地震では、庁舎の被災により通信機能が喪失し、県と連絡をとることも困難となった市町村もありました。 そこで、県では、発災後直ちに連絡職員を派遣し、被災市町村の情報収集や県からの情報伝達に取り組みました。 その上で、被害が大きく、行政機能の強化、支援が必要な市町村からの要請に応じて、首長の補佐役としての幹部職員や多数の業務支援職員を派遣しました。 これらの派遣職員が、市町村の被災状況や必要とする支援内容などを把握するとともに、その災害対応をサポートすることにより、救助活動や災害物資の供給など、その後の円滑な支援につなげることができました。 一方で、派遣職員へのアンケートや被災市町村からの聞き取り調査の結果、今回の職員派遣について、幾つかの課題が明らかになっています。 県側の課題としては、発災当初、業務内容に適合した派遣期間の設定や派遣職員に対する派遣先での役割の徹底ができなかったことなどが挙げられます。 また、支援を受けた市町村側の課題としては、派遣職員に担当させる業務を事前に整理できていなかったという点が挙げられます。 こうした課題を踏まえ、大規模な災害においても、発災後、職員派遣を初めとした災害対応体制を速やかに構築できるよう地域防災計画を充実させるとともに、災害対応業務に当たる職員への研修の充実を図ってまいります。 また、市町村における災害時の初動対応力や受援力を高めるため、受援業務等を整理したマニュアルの整備、充実を支援するとともに、県と市町村が共同で訓練を実施するなど、災害時における県と市町村との連携体制の一層の強化を図ってまいります。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) 被災市町村に派遣された自治体、あるいは出なかった自治体と、それぞれの差はあろうかと思います。私は、この有事の際には、県が、権限ではありませんけれども、強い態度で、強い行動で、市町村に対して、人員配置であるとかといったことを初動期に行わなければ、なかなかこの有事の際の市町村の行動には課題が多くなってくると思います。ぜひとも、今後、被災市町村等々、災害の直後に最初の人員を配置する制度を早期に整備されていただきたいと要望しておきます。 次に、今後の防災あるいは減災対策について、今後早期に確立すべき取り組みについてをお尋ねしたいと思います。 まずは、津波、高潮などから命を守る人の避難についてであります。 防災、減災は、どちらかというとハードの印象が強いのですが、今回の地震を受け、人命を守るために、警報発令後にどのように行動するのかにかかってくると、それも数分といった時間内での行動が生死を左右することになります。 本年11月22日に起きた福島地震では、津波警報が発令されたが、東日本大震災の教訓によって、高台への避難がスムーズに徹底されたようでありました。 地震災害発生時の第1次避難場所は、小中学校グラウンドなどが指定されている場合が多く、海岸や河川に近い地域では、津波等の危険からより高いところへの避難が必要となりますが、高台とは言えない場所も多いようです。 私の地元宇土市においても、小学校や中学校などが指定されています。海岸線を抱える本市の住民は、このとき、避難場所を目指し、主に車で移動しましたが、道路は完全に渋滞で動かずじまい、山に逃げようにも車の渋滞等で登れずに家に帰った方もいらっしゃいました。 確かに、市町村の地域防災計画では、津波警報発令時の避難予定場所や避難経路が明示されていると思いますが、余り知られていないことや避難路の道幅が狭いなどから、防災計画にある1次避難場所への移動が集中したケースも多く見受けられました。 これを踏まえて、現実に即した避難の対応が今後求められていくと思います。これらの課題については、地域防災計画を策定している市町村に対し、県が今後どのように指導していかれるのか。 また、市町村の支援の公助だけではなくて、県民一人一人が、災害発生時には、みずから避難する、一人で避難できない方は地域で助け合って避難をするという、自助、共助の意識も今後さらに高めることも重要であると思います。 県として、これからどのような取り組みを行っていかれるのか、知事公室長にお尋ねをいたします。  〔知事公室長坂本浩君登壇〕 ◎知事公室長(坂本浩君) 津波、高潮などから命を守るための人の避難についてお答えいたします。 津波は、地震発生から数分以内に沿岸に到達するものもあり、東日本大震災における教訓として、地震発生後の避難行動のわずかな違いが、人の生死を分けることになるということを改めて認識したところです。 津波による人的被害を少しでも軽減するためには、一刻も早い津波からの避難を徹底することが何よりも大切です。 そのため、まずは、避難場所までの避難方法を、渋滞を避けるために原則徒歩とすることや、避難場所の中には、浸水のおそれにより使用できないと想定しているものもあることなどを、住民へ周知しておくことが重要です。 その上で、住民一人一人が、日ごろから安全な場所や避難経路などを確認し、主体的な避難行動を徹底する自助と、近隣住民が声をかけ合い、迅速に避難する体制を整備する共助の取り組みを、車の両輪のように機能させていくことが、大変重要であると考えています。 そこで、県では、市町村に対し、地震や津波など具体的なケースを想定した訓練等の機会を通じて、地域の実情に応じた避難路や避難場所、避難方法を住民に周知するよう助言してまいります。 また、エリアメールや防災情報メールサービスのさらなる活用により、行政から迅速な情報発信を行い、津波、高潮の被害から県民の命を守る取り組みを進めてまいります。 さらに、幅広い世代を対象とした防災教育や地域防災リーダーの育成、自主防災組織の活動支援などにより、県民の自助、共助の意識を高めるための取り組みを進めてまいります。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) 県下市町村の中で、この津波についての避難のあり方については、相当温度差のあることではないかと今認識しております。全市町村において、現実に即した津波の避難のあり方、防災計画等々にも、ぜひとも県の指導のもとでのせていただきたいというふうに思います。 次に、台風等の接近による海岸線の漁船の避難と県漁港の現状についてお伺いします。 私の地元の宇土市の漁業関係者の方から、津波や高潮に備え、人の避難の前に漁船を避難させているという話を伺いました。海上から港への避難は、よく聞きますが、この場合、漁港から漁港へ避難をしていると伺いました。 確かに、余りこの漁船の避難というのは考えてもみませんでしたが、しかしながら、地元では、これが当たり前のこととして、台風接近に備え、毎回避難をさせているということであります。 今回取り上げます県営の赤瀬漁港は、第1種漁港として昭和27年に指定され、これまで数度の改良、整備が行われ、現在に至っています。 この赤瀬漁港では、漁民は、台風接近時に、港内での風や波などの漁船への影響を心配されており、地形上、より波の影響を受けにくい近くの網田漁港などに避難させている状況にあります。 今、防災意識が高まる中、県として、このような港を持つ県営の漁港の安全性について、現状をどのように捉え、今後対応していかれるのか、農林水産部長にお尋ねをします。  〔農林水産部長濱田義之君登壇〕 ◎農林水産部長(濱田義之君) 漁港につきましては、国の定めた基準に基づき、過去の気象データをもとに、台風を含めた30年に1度発生する規模の波、これを想定いたしまして、その波が漁港に到達しても漁船の安全性が確保できるよう整備を行っております。 御紹介ありました赤瀬漁港につきましても、この基準により、昭和49年から平成11年にかけて、防波堤、物揚げ場などの施設を備えた漁港として整備をいたしました。 しかし、議員から御紹介がありましたとおり、船だまりで波が発生しやすく、台風接近時には網田漁港に避難をしているとの利用者からの声があることも承知をいたしております。 この要因の一つには、船だまりが県内漁港の中でも広いということ、そして特に北から西の強風時には、波が発生する傾向が高くなりやすいということが考えられます。 このため、県としては、まずはしっかりと現状を把握することが必要と考えております。今年度から2年間をかけて、改めて、冬の強風時、そして台風接近時における赤瀬漁港内の風や波の状況について、調査、観測を行ってまいります。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) 宇土市のこの漁港のみならず、ほかの県営漁港について、私はよく認識しておりませんが、この県営の漁港はどこも立派な港ばかりであります。どうかぜひ、宇土市の赤瀬漁港も含めたところの安全性については、目を配っていただきたいと思います。2年間ということでありますが、なるべく短い期間で調査研究に当たって、その対策が必要であれば、対策を進めるということをお願いしておきたいと思います。 続いて、中小企業・農林水産業者への中長期の復興支援についてお尋ねをいたします。 いよいよ動き出す地震からの再建、復興に向けて、各事業者は、決意を新たに、事業者に寄り添った継続的な国、県の支援を望んでいるところであります。 ここで、動き出す再建、復興における事業者に寄り添った施策について、蒲島知事にお尋ねをしたいと思います。 熊本地震は、本県に未曽有の被害をもたらし、さらにその後の6月の豪雨と土砂災害により、その被害でさらに大きくなりました。 熊本地震による商工業の被害額については、建物や設備などの直接被害額だけで8,200億円に上るとされており、休業等の売り上げの減少を考えると、その影響は1兆円を超えるものと想定されています。 私の地元宇土市でも、1,400以上の事業所があり、そのほとんどは中小・小規模の企業でありますが、多くの方々が経験したことのない大地震による被害を受け、発災当初は先の見えない不安の中で過ごされておりました。 また、農林水産業におきましても、県下で、農地、農業用施設のほか、山腹崩壊等により約1,500億円の被害があり、うち宇土市では、農地や用排水路で10億円もの被害があり、水産関係では、ノリ養殖用の加工施設など2億5,000万円の被害額となっております。 このような中、蒲島知事は、その対策、復旧に、当初から先頭に立って陣頭指揮をとってこられました。国に対して、新しい国庫補助制度の創設やこれまでの補助制度の補助率のかさ上げなどの要望を強く働きかけてこられました。 これにより、今後に先行きの不安や資金繰りなどから廃業を考える事業者が思いとどまったり、親が悩んでいる姿を見て、子供たちが後継者として家業を助けたりとか、今後も頑張って事業を継続していこうとする人も多数いたと伺っております。 さて、いよいよこのグループ補助を初めとして支援策も強力に進められ、中小企業や漁業、また農業関係の事業についても、再建に向けた具体的な取り組みが始まるこれからが正念場を迎え、うまく事業を進めながら返済し、そして生計を営んでいけるのか、不安いっぱいのスタートになります。 こういった不安を払拭するためには、国や県の中長期にわたる支援が私は必要であると思います。 蒲島知事は、これまで、県民に寄り添いながらの対策、復旧支援を行ってこられました。本県経済を牽引する中小企業や農林水産業などの事業者には、中長期にわたりしっかりとした経営支援が必要であります。蒲島知事の思いをお聞かせいただきたいと思います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 4月の熊本地震発生直後から、被災された多くの事業者の皆様の痛みを最小化し、経営再建の意欲が失われることがないよう、さまざまな支援策を実施してまいりました。 中小企業への支援では、発災直後に、関係機関と連携したきめ細やかな相談体制を確保するとともに、県議会の御理解のもと、3回の知事専決処分により、トータルで1,300億円に上る制度融資枠の追加を行いました。加えて、県として初めて、信用保証料の全額補助も実施いたしました。また、グループ補助金については、これまでに1,200億円の予算を確保し、本県経済の迅速な復興に努めてまいりました。さらに、九州ふっこう割の実施により、観光需要の喚起を図ってまいりました。 これらの取り組みにより、震災関連の企業倒産は、これまで4件にとどまっています。 また、農林水産業への支援では、まず、水の確保が困難な約1,000ヘクタールで大豆等への転作を推進するなど、当面の所得確保に向けた支援を実施してまいりました。 さらに、営農基盤である農舎や畜舎の復旧については、国に対し、被災農業者に向けた支援事業の早急な発動とあわせ、充実した支援内容となるよう働きかけを行い、補助制度の拡充が実現しました。 この結果、これまでに3,933経営体、7,525件の申請がなされています。 これらの取り組みにより、ほぼ全ての方々が離農することなく、経営再建に向けた歩みを進められています。 これからいよいよ創造的復興に向けた取り組みが本格化します。商工業、農林水産業の再生を強力に推し進め、将来に向けた県経済の創造と発展につなげていくことが重要であります。 このため、中小企業については、グループ補助金の申請を契機に事業者が一体となって取り組む地域の活性化、また、新たな技術やノウハウの導入による生産性の向上、また販路の拡大など、事業者の取り組みを積極的に支援してまいります。 農林水産業については、農地の復旧を機に大区画化を進め担い手への農地集積も進めるとともに、被災したカントリーエレベーターなどの共同利用施設の再編・集約化などにも取り組んでまいります。 今後とも、被災された事業者の皆様の気持ちに寄り添いながら、本県産業のさらなる発展に向けて、全力で取り組んでまいります。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) 知事から、しっかりと寄り添った支援をやっていくというお話がありました。何とか多くのこの施策について準備が整いつつある中で、いよいよ具体的に、事業、農業、漁業、あるいは商業、多くの営みがスタートするところであります。県知事が唱える復興4カ年戦略こそが、一番大切なこの4年間であると思います。この4年間の中で、5年、10年先の経営の方向性がまた見えてくるだろうと思います。どうか、ぜひとも、この中長期にわたる支援を視野に入れて、この4年の復興戦略を進めていただきたいと思います。 次に、中小企業経営者への中長期の支援についてお尋ねをします。 中小企業等グループ補助金のほか、経済復興については、9月定例会一般質問において先輩の溝口先生が質問されています。 質問では、事業者にとって有効な施策であるが、事業の維持、拡大、見直しなど、さまざまな検討を行って、経営が持続的に発展するよう、その必要性を説かれております。 これをもとに、本日まで多くの制度の充実支援が加速的に進められてきたと思います。 いよいよ支援制度を活用し、各事業者が具体的な事業に入るときとなった今、グループ補助金は、中小企業者の場合、復旧、整備に要する費用の4分の3は、もちろん補助金で充当されますが、その補助残については、基本的には借入金、借金で手当てをすることになります。 資金調達力の脆弱な中小企業にとって、従来の借り入れと今回の新たな借り入れが加わるなどから、中小企業の経営者にとっては、今回の予定外の事業は今後の経営に大きな不安をもたらしています。 一時的には、地元商工会などの支援指導員が行っていくと思いますが、県として、中長期的な経営を見据えた経営支援が必要と思われます。 今後の中長期の支援をどのようにやっていかれるのか、具体的に商工観光労働部長にお尋ねをします。 続いて、水産事業者への将来に向けた経営基盤づくりについてであります。 今回のグループ補助金の申請には、地元宇土市の住吉漁協や網田漁協が申請をし、現在計画を進めているところであります。 商工業、農業と比較したとき、漁業の経営には、将来を見据えた経営計画の方向性がなかなか確立されていない感があります。 今後のノリ養殖の経営には、共同化、協業化が不可欠と言われております。特に、計画的に収穫の見込めない、自然を相手にするノリ養殖業の経営には、大きな設備投資も必要であり、経営的な不安を感じています。 個人がそれぞれのノリ乾燥機などを所有していますが、設備機械の更新時期がそれぞれ異なることから、なかなか共同・協業化が進まない要因になっています。計画的に行い、共同化、協業化にシフトしていかなければ、いつまでたっても経営改善は進みませんし、また後継者も育っていかないのが現状であります。 今回の地震などで個々の設備投資も増加しています。そのために、県が中心となり、今後、中長期にわたる経営基盤の強化について、事業者に寄り添った支援、指導をすることが必要ではないかと思われます。農林水産部長にお尋ねをいたします。  〔商工観光労働部長奥薗惣幸君登壇〕 ◎商工観光労働部長(奥薗惣幸君) 中小企業経営者への中長期の支援についてお答えいたします。 県では、中小・小規模企業の一日も早い再生に向け、各種の施策を実施しており、グループ補助金については、現在、2次公募までに417件、6,480事業者のグループを認定しています。また、国の持続化補助金についても、これまで1,300件が採択されております。 これらの施策の実現に際しては、事業者の持続的な発展を図っていくため、当面の負担軽減等の支援に加え、将来を見据えた適切な経営支援を行っていくことが極めて重要であると考えております。 そのため、当面の資金繰りでは、県の制度融資枠の大幅な拡充や信用保証料の全額補助、くまもと産業支援財団における無利子貸付制度の創設などの支援を行っています。 また、被災事業者への支援のかなめとなる商工団体や金融機関等の経営支援機関によるきめ細かな経営支援が重要であります。 このため、本年1月に県内2カ所に設置した経営支援サポートオフィスの専門家等を活用し、商工団体の経営指導員の資質向上や金融機関との連携強化を図っています。 さらに、震災後相談が急増しておりますよろず支援拠点等の支援機関との連携を強化するとともに、その拡充につきましても国へ要請しております。 今後とも、中小・小規模企業に寄り添いながら、中長期的な支援体制の整備に努めてまいります。  〔農林水産部長濱田義之君登壇〕 ◎農林水産部長(濱田義之君) 近年のノリ養殖でございますが、高水温などの漁場環境の変化、燃油・資材価格の高騰など、依然として厳しい環境下にございます。加えて、高齢化による経営体の減少も続いております。 こうした状況を改善し、将来ともに持続的なノリ生産を可能とするためには、ノリの陸上乾燥作業における協業化を進めることが不可欠だと認識をいたしております。 この協業化でございますが、乾燥に係る施設整備費や油代などの生産コストの削減を可能にするほか、陸上での作業時間が削減され、海上での養殖管理の徹底に振り向けられることから、ノリの品質の向上も図られるものでございます。 しかしながら、有明海におけるこれまでの協業化は、養殖業344経営体のうち、親族のみで協業する23経営体と、国や県などの補助事業で整備した玉名市の大浜漁協の共同乾燥施設1つが稼働しているのみでございます。 そこで、県では、協業化の動きを加速化させるために、平成26年度から、協業化を考える生産者を対象に、水産コンサルタントを活用した経営収支に関する勉強会を6つの漁協で実施をしてまいりました。 また、浜の活力再生プランの策定を支援する中で、勉強会を実施されました宇土市の網田漁協など5つの漁協では、平成30年度までに共同乾燥事業に着手することになりました。 このうち、長洲町の熊本北部漁協では、既に本年の11月から、民間企業とタイアップして、ノリの乾燥作業を行うなど、協業化に向けた動きが出ております。 さらに、本年6月でございますが、県漁連が、浜の活力再生広域プランにおきまして、平成32年度にかけて広域的な協業化に取り組むことを決定されました。 こうした動きを踏まえまして、県としても、今後、浜の活力再生プランに位置づけられた協業化の取り組みに対しまして、漁協と連携をさらに強めるとともに、国に対して必要な支援策を求めながら、各地域、各浜の生産者が抱える課題の解決を支援してまいりたいと考えております。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) 商工業も、農業、漁業も一緒でありますが、この経営については、もちろん事業される方々の責任が一番でありますが、行政の支援については、やり方次第では、経営のあり方、将来の経営の見通しなど、随分と変わってくると思います。 漁業について、今お話がありました、共同化、協業化という言葉がよく以前からあっております。なかなか、各事業体の方々は、個人個人のこれまでの計画で機械の設備投資をやる、あるいは自分ところは3年後にやる、隣は5年後だということで、それぞれまちまちで何千万という投資をされております。よほど、熊本県、あるいは県漁連、あるいは市町村、そして各漁業体の連携をとりながら必要性をやっていかなければ、本当に経営が非常に難しくなってくると思われます。ぜひとも指導力を発揮されて、経営者の将来のため、若い方々の担い手のために頑張っていただきたいと思います。 次に、復興に向けた住まいの確保についてであります。 平成28年熊本地震からの復旧・復興プランでは、被災者に寄り添った住まいの再建を掲げ、応急仮設住宅の提供について速やかに対応してこられました。 熊本復旧・復興4カ年戦略では「安心して住み続けられる「すまい」の確保」を掲げ、災害公営住宅の整備による支援や被災者の自立再建住宅への情報提供などのほか、宅地崩壊や液状化、亀裂、陥没、あるいは擁壁崩壊等の宅地被害への暮らし再建に向けた宅地復旧等の取り組み支援がうたわれています。 そこでまず、災害公営住宅の整備についてでありますが、被災市町村では、災害公営住宅への取り組み検討が今動き出しているところであります。応急仮設住宅の供与期間は2年ということになりますが、全ての災害公営住宅をこの期間に整備するというのは困難と思われます。今後どのように進められていくのか、お尋ねをしたいと思います。 また、市町村では、技術者を初めとしたマンパワー不足は否めない状況であります。公営災害住宅は、市町村が希望すれば、県や独立行政法人都市再生機構が受託可能となっています。 この都市再生機構は、東日本大震災においては、85地区、5,880戸の災害公営住宅を建設した実績もあります。 市町村も県も人員的に厳しい現状下、これらUR等の活用もあわせて推進する必要があるのではないかと思います。 また、スピード感を持って進めていくことも重要でありますが、一方で、各市町村には、公営住宅の整備などに関するそれぞれの住宅政策があると思います。 災害公営住宅とあわせて、既存共同住宅の老朽化の建てかえなど、その住宅政策と整合させることが地域の町づくりには大変重要なことであると思います。その上で、現状と将来を見据える必要性、災害復興住宅の取りかかりになろうかと思います。 県として、市町村に対し、どのように対応していかれるのか。 以上3点について、土木部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長手島健司君登壇〕 ◎土木部長(手島健司君) 災害公営住宅の整備に関し、1点目の今後の進め方についてお答えいたします。 災害公営住宅の整備は、条件が整った市町村から、応急仮設住宅の供与期間である2年以内をめどに順次整備を進めてまいります。 しかしながら、用地の確保や被災地全体の住環境整備などの課題もあり、整備完了時期が供与期間を超えることも考えられます。この場合は、既存の公営住宅や木造の応急仮設住宅の活用など、被災者の住まいの確保に支障がないよう市町村と対応を協議してまいります。 2点目の独立行政法人都市再生機構、いわゆるUR都市機構との連携についてですが、災害公営住宅の整備手法については、建設、買い取り、借り上げの3つの方法があり、東北3県では、UR都市機構が買い取り公営住宅の整備を行っています。 熊本地震でも、市町村が希望する場合には、UR都市機構による公営住宅建設や技術支援が行われる予定であり、県としても、今後必要な情報提供を行っていくこととしています。 3点目の市町村の住宅政策との調整に対する県の対応についてですが、災害公営住宅の入居者は、災害発生の日から3年を経過すると、一般的な公営住宅と同じ入居資格を有していることが必要となります。 そのため、今回の災害公営住宅として建設する住宅については、既存の公営住宅を含む住宅政策との整合を図るよう市町村に助言を行ってまいります。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) 続いて、くまもと型復興住宅の推進について、少し時間がずれましたけれども、加えて御質問します。 地元では、被災した住宅を再建する動きが少しずつ出始めているようであります。その際、価格の問題、値段の問題、強度の問題、あるいは建築工期の問題などを抱え、思い悩んでいる市民もたくさんいらっしゃいます。 このような中で、現在、3棟のモデル住宅が建設中であります。この12月2日には1棟のモデル住宅が完成いたしました。私も早速見させていただきました。 そこで、この試みを県としてどのように県民に普及させていくのか。また、市町村の窓口で、くまもと型復興住宅のPR、相談を積極的に行う必要があろうかと思います。県市連携の上で、このくまもと型復興住宅を推進していただきたいのですが、その考えについて部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長手島健司君登壇〕 ◎土木部長(手島健司君) くまもと型復興住宅については、県と関係団体で設立した熊本県地域型復興住宅協議会での相談窓口の設置や相談会の開催等により普及していきたいと考えています。 また、この協議会で、くまもと型復興住宅のプラン集等をまとめたガイドブックを作成することとしており、市町村と連携し、被災者に広く情報提供を行うことなどにより、くまもと型復興住宅の推進に努めてまいります。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) 特に、くまもと型復興住宅については、一般県民の方々は、単価の問題、あるいは工期の問題、強度の問題等々で非常に参考になる、また、地場産業の建設会社等々にも経済にも大きな影響を与える施策であると思います。ぜひとも、積極的に市町村とともども推進をしていただきたいと思います。 続いて、観光県熊本の道路の景観、建築の魅力ある復興についてお尋ねをします。 昨年の12月定例会一般質問において、幹線道路の景観向上についてお尋ねをいたしました。 世界遺産に登録された三角西港、天草教会群へのアクセス道路沿線のガードレールや電柱、雑草など、道路の景観が余りにも汚いと指摘させていただきました。主に県道、国道がそうであります。 その際、土木部長から、景観上の課題を認識しておるということで、今後景観への配慮を積極的に働きかけていきたいという御答弁がありました。 こういった中で、9月の定例会において、おもてなしグリーンプロジェクトの予算化がなされました。 これは、2019年の国際スポーツ大会を見据え、開催地や観光地などに至る沿線景観の魅力化を図ることで、地域経済の活性化を推進することを基本コンセプトにし、植栽構造の改善や老朽化した街路樹等の更新を行うとされております。 そこで、観光県熊本の魅力ある復興を進める上で、おもてなしグリーンプロジェクト、特に道路沿線について、県下全域に広がりを見せる幹線道路を中心とした景観向上を図る、またとないチャンスであると思います。 市町村を含めた今後の取り組みについてお尋ねをいたします。 続いて、今後のアートポリス事業についてお尋ねをします。 この事業は、熊本県が昭和63年に始めた全国初の取り組みであります。 目的は、後世に残り得るすぐれた建築物をつくり、質の高い生活環境を創造して地域文化の向上を図り、熊本から情報を発信することであると、非常にすばらしい施策として評判になりました。 私自身も、前職の熊本市都市局の在職中に、このアートポリス事業に携わったこともあり、思い入れ深い事業であります。 一方で、ことし、4年に1回のアートポリス建築展が、やむなく災害で中止になりました。非常に、この4年に1度の建築展というのは、アートポリス事業の成果でもありました。 今後のアートポリス事業について、どういった方向で行かれるのか、あるいは来年に向けての建築展のあり方等々について、ぜひとも土木部長の御答弁をいただきたいと思います。  〔土木部長手島健司君登壇〕 ◎土木部長(手島健司君) まず、国際スポーツ大会に向けたおもてなしグリーンプロジェクトについてお答えします。 本県では、緑あふれる快適な道路環境づくりを目指し、沿道緑化を推進してきました。 しかしながら、植栽管理のための予算に制約があることから、樹木の成長による通行の支障や雑草の繁茂による景観の阻害などの問題が発生しています。 このため、今年度から、おもてなしグリーンプロジェクトとして、道路植栽の改善などに取り組んでいます。 特に、空の玄関口である阿蘇くまもと空港と熊本市街地を結ぶ熊本益城大津線では、有識者等で構成する熊本益城大津線の街路樹管理に関する検討会議を開催し、年内に適切な街路樹管理のあり方を取りまとめることとしております。 この成果を、プロジェクトの対象路線を初め、県内の主要道路にも幅広く適用するとともに、県内市町村にも情報提供し幅広く共有することで、県全体の道路景観の向上に努めてまいります。 次に、今後のアートポリス事業の展開についてお答えします。 アートポリス事業では、現在、民間の医療施設や県総合防災航空センターなどの建設が進んでいます。 また、熊本地震においては、応急仮設住宅の集会施設であるみんなの家をアートポリス事業として取り組むとともに、建築家の伊東コミッショナーから助言を受けながら、仮設住宅の配置なども工夫し、整備を進めてきました。 今後も、熊本地震からの創造的な復興につながる建築物が、アートポリス事業で建設されるよう取り組んでまいります。 また、これまで、4年に1度開催のくまもとアートポリス建築展などを通じて、アートポリス事業の成果や取り組みを発信し、建築を学ぶ学生など海外を含め多数の見学者が本県を訪れてきました。 今年度は、震災からの復旧、復興を最優先したため、建築展の開催は見送りましたが、今後とも、建築文化事業として、全国的にも、また海外からも高い評価を受けているアートポリス事業の成果等を、国内外に発信してまいります。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) アートポリス事業、この災害の中において、非常にこういった事業がやりづらいというか、発信しにくいという気持ちもあろうかと思いますが、これまでの実績を踏まえて、自信を持って、このアートポリス事業を、この復興の機会をチャンスに捉えて、ぜひとも進めていただきたいとお願いいたします。 最後に、熊本地震からの復興支援の拡充について要望をさせていただきます。 熊本地震では、造成地の滑動崩落などによって多くの宅地被害が発生いたしました。私の地元も例外ではありません。 今回の地震では、一例を挙げますと、小規模な擁壁などに被害が多く、国庫補助制度に対象にならないことから、県においては、国に対して、補助率のかさ上げなどを強く要望されてきたところであります。 引き続き、被災者の救済のため、国庫補助の拡大を進めていただくことを要望いたします。 また、土石流対策や急傾斜地対策のための事業についても、地域によって集落の戸数などで事業要件に合わないところが多く見受けられます。これは宇土市だけではないと思います。その採択が厳しい箇所が、採択の要件が厳し過ぎてなかなか事業が進んでいかないというのが現状であります。 今後、実情に即した事業が行われるよう、弾力的な制度運用ができますように、また、将来の安全なまちづくりに向けた地域づくりのためにも、引き続き強力に国への働きを進めていただきますよう、要望いたします。 以上、質問させていただきましたが、今回の復旧に向けて、蒲島知事の力強いリーダーシップのもと、多くの課題を進めてこられました。また、今後は、まだまだ課題が上がってこない課題も多いかと思います。先ほど、漁業、農業、中小企業に寄り添った支援をお願いしました。それも中長期にわたる支援が必要であるというお願いをいたしました。 中越、あるいは阪神・淡路大震災においては、6年あるいは20年近く経過しておりますが、それぞれの県には、まだ復興支援課が存在して活動を続けられておりました。こういった短期の課題解決から、中長期に向かう支援についても、これから本当に大切なときが来ると思います。 引き続き、蒲島知事の強いリーダーシップのもと、また、その進捗については、現場を仕切る田嶋副知事、小野副知事の腕にかかっていると思います。県下の市町村に、県民に寄り添った全庁を挙げての復旧、復興に、引き続き力を注いでいただきますようにお願いをいたしたいと思います。 以上をもちまして質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(吉永和世君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時10分休憩    ――――――○――――――  午後1時11分開議 ○副議長(小早川宗弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 末松直洋君。  〔末松直洋君登壇〕(拍手) ◆(末松直洋君) 皆さんこんにちは。自由民主党・宇城市・下益城郡選出の末松直洋でございます。本日は、第2回目の質問の機会を与えていただき、大変ありがとうございます。今回、第1回目の質問よりかなり緊張しております。けさは、ことし冬一番の冷え込みでありました。そのせいで、ちょっと喉を痛めてしまいまして、本来はもうちょっといい声を持っているんですけれども、きょうはこの声で一般質問をさせていただきます。 4月の熊本地震からやがて8カ月を迎えようとしております。先日も震度3の余震がありまして、まだまだ油断できないような状況でありますが、4月の今回の熊本地震、6月の大雨によってお亡くなりになられた方へ心からの御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました皆様へお見舞いと、いち早い復旧、復興がなされますことを心よりお祈り申し上げます。 日本も、戦後初めて人口減少することになりました。先般御提案された今後の熊本復旧・復興4カ年戦略の中身も、優先順位等が軌道修正されることになりました。熊本県は、熊本地震、また大雨の復旧、復興が最優先課題だと思いますが、地方創生が叫ばれる中、今後の熊本県のお考えやお取り組みを中心にお聞きしたいと思います。 それでは、最初の質問に入らせていただきます。 熊本地震からの復旧、復興について。 かつて経験したことのないあの大きな地震からやがて8カ月になろうとしています。住宅被害は、約8,000戸の全壊を含み、17万棟を超え、農業、製造業、観光業を初め地域経済や公共施設も大きな被害を受け、また、熊本城や阿蘇といった熊本の宝も大きく傷つきました。 私も、発災直後は、恐ろしさと寒さで震えている子供や高齢者を守るのが精いっぱいでした。余震が続く中、自衛隊、警察、消防署や消防団を初め、県、市町村職員や多くのボランティアの皆さんも寝食を忘れて頑張ってこられたことに対し、心から敬意を表します。 この熊本でこのような甚大な地震が起きることを想定し、緊急時に備えて、水や食料を確保しておられる方はまれでありました。避難所に指定されている場所は人だかりで、入れない方や余震の大きさに外で避難されている方もたくさんおられました。そんな中、被災された皆様が一様に言われたのが、朝起きて、一緒に御飯を食べて、一緒に寝て、また朝起きる、この当たり前のことが、いかにありがたいかということがよくわかりましたという言葉でした。 インターネットで調べ物をしている際に、ふと、ある言葉に気づきました。それは、ありがとうの反対語はという言葉でした。一瞬、何だろうと私は悩みました。ありがとうという漢字を書けば、有ることが難しいと書きます。いわばまれであるということであります。すなわち、奇跡だということです。今まで当たり前と感じたことがいかにありがたいことなのか、この大きな災害に遭遇して初めて気づかされました。 知事が掲げられている復旧・復興の3原則を柱に、もう一度、ふるさと熊本の輝きを取り戻し、復旧、復興を熊本のさらなる発展につなげることを目標として、蒲島知事3期目の基本方針となる熊本復旧・復興4カ年戦略の案が示されました。最大の目標は、県民幸福量の最大化だと思いますが、今回の地震で受けた被害は余りにも大きな傷跡を県民に残しました。 この戦略の中で、基本目標として4つの目標が上げられています。1つ目が「災害に強く県民が夢と誇りを持ち安心して暮らし続ける熊本の創造」2つ目が「熊本を支える力強い産業の復活・発展と、魅力ある雇用の創出」3つ目が「熊本への人の流れの再生・加速化と、人材流出の抑制」そして4つ目が「県民の結婚・出産・子育ての希望の実現」です。 今回の地震で被害がひどかった自治体は人口減少が激しく、一時的に町外へ避難されている方もたくさんおられるはずです。新聞でも紹介されていました益城町の住民の方へのアンケートでは、実に9割を超える方たちが、今後もずっと益城町に住みたいという結果でした。やはり住みなれた場所を離れたくないというのが住民の皆さんの本音ではないでしょうか。 熊本県の年齢階級別の人口移動の状況を見ますと、15歳から24歳の転出超過が特に多く、この年代の流出が少子高齢化に拍車をかけていると思います。ここが大きな問題だということは皆さん御存じのとおりであります。 平成27年6月に実施された県民アンケート、幸せ実感くまもと4カ年戦略に関する意識調査では、4つの取り組みの方向性について、目指す姿に近づいているかどうかという問いに対し、活力を創る、安心を実現する、百年の礎を築くでは、そう思う、どちらかといえばそう思うを合わせて、約80%を超える結果でありました。 熊本県が確実によい方向へ向かっていた中で今回の熊本地震の発生となりましたが、私は、以前、知事が書かれた「逆境の中にこそ夢がある」という本を読んで感銘を受けた一人ですが、こんなときだからこそ、幾度となく逆境を克服されてこられた蒲島知事で本当によかったと、県民の誰もが思われていると思います。失ったものも確かにたくさんあると思いますが、地震により得られたものもたくさんあると思います。例えば、家族のきずな、人と人とのつながりや地域コミュニティーの大切さなどではないかと思います。 そこで、お尋ねします。 私の地元の熊本県立小川工業高校の建築科の生徒たちが、今回の地震による仮設住宅の建設現場に実習に行ったときに、生徒たちは、一生懸命に被災者の皆様のために働く現場の人たちを見て、ぜひ自分たちも被災者の皆さんの役に立ちたい、これからの熊本県の復旧、復興の力になりたいと熱い思いを語られたそうです。熊本県では、現在、有効求人倍率が1.46となり、人手不足の状況でありますが、若者の転出超過があることは事実であります。しかし、自分が生まれ育ったこの熊本の力になりたいと考えている若者もたくさんいると思います。今回の大きな災害を受け、復旧、復興には、長い時間と若い力が必要です。 これからの復旧、復興に向けて、今後の未来を担っていくであろう熊本の宝である若者に対し、蒲島知事の熱いメッセージをお聞かせ願えたらと思います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 今回の熊本地震からの復興において、被災された方の生活再建には、住まいと経済の復興の2つが最も重要だと考えています。住まいにおいては、仮設住宅の建設が11月に完了しました。経済においては、中小企業への制度融資枠の拡大やグループ補助金等で地震に関連した倒産は4件にとどまっています。 これからの本格的な経済の復興には、熊本が本当に必要とする人材の確保が重要になってきます。地震を経験された高校生等の若者の皆さんが、復興の次の担い手として地元の現場に携わり、地域の皆さんとのかかわりの中で育つことが、息の長い復興には不可欠だと思います。 県では、県内企業で働く従業員が生き生きと働き続けられるよう、労働環境や処遇の改善を積極的に行う企業をブライト企業として認定しています。これは、従業員や求職者の方々から見た企業の魅力を発信することで、若い皆さんに、就職先として県内企業を選んでいただくことを狙いとしたものであります。 また、工業高校に配置したしごとコーディネーターによる県内就職支援なども取り組みとして行っています。 こうした取り組みにより、熊本で働き、復興の力となりたいとの思いにしっかりと応えてまいりたいと考えています。 私は、どんな困難な状況にあっても、熊本地震からの復興を果たし、若い世代に対し、夢や希望にあふれる新たな熊本を創造したいとの思いを込め、今回、復旧・復興4カ年戦略を提案しています。 若い皆さんの熊本に対する熱い思いとエネルギーを結集し、一日も早い熊本の創造的復興のために、最大限力を発揮していただきたいと思っています。よろしくお願いします。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) 知事から若者へ向けて力強いメッセージをいただきました。これからの熊本県の将来を担っていく人たちも勇気100倍だと思います。県によるブライト企業の認定や、県内企業の魅力発信や工業高校に設置されたしごとコーディネーターなどの就職支援も実施され、若者の応援も行っていただくようです。 現在、県内の有効求人倍率が高いのに県内の人手不足があるのは、もちろん、都会への憧れや一度ふるさとを外から見てみたいという若者の考えもあるかと思います。先日の経済環境部会の研修で熊本県の大阪事務所で伺ったお話ですが、今回の地震で私の地元のJAうきの野菜選果場が大きな被害を受け、選果及び出荷ができなくなったメロンやトマトを販売していただきました。大阪の熊本県人会や熊本県の高校同窓会、また、県内市町村の大阪県人会の皆様の御協力で、あっという間に完売したそうです。熊本県出身で団塊の世代と言われる人たちも、集団就職やさまざまな形でふるさとを後にされた方たちの思いは、私たちが想像している以上に強いものがあると感じました。若い人も高齢の人も、熊本県に住む人も全国におられる熊本県出身の方も、思いは同じだと思います。これからの熊本県の創造的復興はもちろんですが、地方創生が叫ばれる中、活力ある熊本県の発展のためには、若者の力がぜひ必要ですので、今後ともぜひ応援よろしくお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきます。 次に、熊本地震からの復旧、復興における防災、減災に関する課題と取り組みについて。 4月の熊本地震、6月の大雨により、県内では、死者150名、重軽傷者2,570名、また、住宅被害が、全壊約8,300棟、半壊約3万1,800棟、一部損壊が13万7,000棟を超える被害が発生しました。さらに、ライフライン、医療機関、社会福祉施設被害、公共土木施設被害、文教施設や公共施設被害、公共交通機関被害、農林水産や商工被害、文化財や災害廃棄物などのさまざまな分野において、9月14日現在、3.8兆円という被害額になっております。一日も早く被災者の生活再建と被災地の復興をなし遂げることが最大の責務だと思っております。そのためには、県のリーダーシップのもと、市町村、県民一体となって、オール熊本で取り組むことが大事だと考えます。 このような大災害を機に、熊本地震の経験を踏まえた防災教育を推進する必要があると思われ、今回発生した災害を次世代の人々に伝えていくことが私たちに課せられた大切な役割であると考えます。 今回の地震において、県内外から人的、物的支援をたくさんいただきましたが、自治体同士の大きなつながりやきずなが新たに生まれたのではないでしょうか。今後予想される南海トラフ地震など大規模災害に備え、広域防災や姉妹都市連携の締結などに向けて、今後の取り組みもさらに必要になってくると感じます。 また、防災においては、自助、共助、公助という言葉がありますが、やはり一番の基本は、自分たちのことは自分たちで守るというのが基本であると思います。次に共助であると思います。今回の地震による家屋倒壊で下敷きになった方々を救い出したのは、地域の人々や消防団の仲間でした。私の地元宇城市でも数名が助け出されました。西原村では20数名が助け出されたということであります。西原村の日置村長から、やはり人と人とのつながりや地域コミュニティーがあった田舎だからこそできたという話を現地で直接伺いました。 先日、経済環境常任委員会で、12年前に大きな地震被害に遭われた中越地方を視察で行ってまいりました。新潟県長岡市にある震災の記憶を残した施設、長岡震災アーカイブセンターきおくみらいにおいて、市の担当者から研修を受けましたが、そこでは、映像やデジタル技術を駆使し、次世代の人たちに震災の記憶を伝えようという強い思いが伝わってきました。 今回は訪問できませんでしたが、大きな被害に遭われた長岡市の山古志村では、被災の影響により人口は半分になってしまったものの、逆に、村民のみんなが被災前より元気になったというお話をお伺いしました。もともとこの地区では、地震の発生が多いところであったため、自主防災組織や防災訓練など頻繁に行ってきたと語られました。住民の代表の方たちは、地域の防災に関する台帳を作成され、村民の家族構成はもちろん、間取りや寝室の場所まで把握されているということでした。もちろん、個人情報保護法の問題もありますが、これらの情報をいかに活用するかが今後の課題かと思われます。 そこで、今後、熊本が復旧、復興を遂げていく中で、防災、減災のかなめである自助、共助に関する課題と取り組みについて、知事公室長にお尋ねいたします。  〔知事公室長坂本浩君登壇〕 ◎知事公室長(坂本浩君) 自助、共助に関する課題と取り組みについてお答えします。 今回の熊本地震において、県は、人命救助などの応急対応や被災者の生活再建支援について、国、市町村と連携して取り組みを進めてまいりました。 しかし、発災直後は、道路網が寸断された中で、20万人近くの人が一斉に避難したため、支援物資が十分行き渡るまでに一定の時間を要するなど、タイムラグや物資の量の面で公助の限界が明らかになりました。 このため、少なくとも行政の支援が届くまでの間、自助や共助により対応する必要性を改めて認識したところです。 自助については、平成27年度の県民アンケートにおいて「水、食糧等の備蓄をしている」人の割合が28%、「家具等の固定をしている」人の割合が20%にとどまっているなど、日ごろの備えが十分でないことが課題であると考えています。今回の熊本地震でも、家庭における水や食料の備蓄が十分でなかったために、避難所等における支援物資の配布には長蛇の列ができました。 共助については、リーダーの不在や活動ノウハウの欠如などにより、発災直後の適切な声かけや避難誘導などが行われなかった地域もあったことが、震災後の市町村へのヒアリングから明らかになっています。 このような課題を解決するため、熊本地震により高まっている自助意識のさらなる向上に向けて、現在作成中の防災ハンドブックを活用して、各家庭での最低3日分の水、食料の備蓄などの日ごろの備えや発災時の対応などについて啓発を行います。 また、共助による地域防災力を高めるため、発災時に地域住民が相互に協力して災害対応ができるよう、防災リーダーの養成や市町村と自主防災組織との連携強化に引き続き取り組んでまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) 知事公室長にお答えいただきました。 もはや日本国中、安心、安全な場所はないかと思われます。自然災害も連続で起きており、とても公的な支援だけでは追いつかない中で、先ほどもお話ししましたように、自分たちのことは自分たちで守るというのがまず大事かと思います。 私たちの地域の中でも、自主防災組織の設立が低かったため、昨年、急遽設立した地区がたくさんありました。そんな中での今回の熊本地震でありましたが、実際、この自主防災組織が機能した地区はわずかでありました。訓練は数回しましたが、皆、真剣味に欠ける行動ではなかったかと思います。今後は、防災リーダーの養成が急務だと思われます。やはり訓練のための訓練ではなく、本当の意味での訓練が必要とされます。 先ほど申されましたように、災害発生後の最低3日間の水、食料は保管しておくべきで、持ち出すものもまとめておく必要もあると思います。今回の地震で地域コミュニティーの大切さが一段と重要なことだということがわかりました。まずは家族の安全、次に地域、次に公的な支援であり、この3日間というのに私がこだわるのは、公的な支援が整うまではこれぐらいの時間が必要だと思うからです。最近特に言われる自助、共助、公助、これからの次世代の人たちに引き継いでいかなければならないのは、災害の記録はもちろんですが、災害時の行動や思いをつないでいくことが私たちに課せられた大きな課題だと思います。 それと、私も加入している消防団の苦悩を少し話させていただきますと、団員は、皆、自分の仕事を持ちながら活動しています。今回のような大きな災害発生時には、家族の心配をしながら現場に駆けつけるのですが、団員不足もあり、交代要員がいない中で、連日にわたり活動していると、勤務先から、会社とどっちが大事かいと責められるそうです。無断欠勤扱いで減給されたというお話も聞きました。このようなことがないように、県内企業にも活動の御理解をいただけるように、県からもよろしく御指導お願いいたします。 それでは、次の質問に移らせていただきます。 中小企業等の支援に係る市町村との連携について。 今回の熊本地震において、多くの企業及び個人事業主の方たちが被災されました。4月の発災以降、災害現場を回る中で、店の前にへたれ込んで、茫然自失されている姿が脳裏に浮かんできます。お店の方たちにお話を伺うと、もう店は続けられんばい、どぎゃんもならぬと言われ、私もなすすべなく黙って聞くしかありませんでした。 そんな中、すぐさま蒲島知事初め国会議員の先生方からの強い働きかけによって、即座に激甚災害に指定されました。その後、国からの補正予算7,780億円が決定しました。まだ正確な被害状況が確認できない中での大きな予算でした。また、9月の補正予算で4,139億円の追加が決定したことは、県民にとって非常にありがたいことでした。 この予算の使い道として、職員の方たちが寝食を忘れてきめ細やかなメニューを作成されました。皆、初めての経験であり、前例がないことだらけで、走りながら方策を考えていく状況ではなかったかと思われます。そんな中、大きなメニューの一つにグループ補助金があります。11月30日現在、第2次公募2次締め切り分41グループを含む417グループ、構成数6,480者が認定されました。第1回、9月30日付の187事業者の57.3億円、第2回、11月1日付、59事業者の24.9億円の合計246事業者の82.2億円が交付決定されました。まだまだ申請を悩んでいる、ちゅうちょしている方が多数おられると伺っています。たくさんの方たちが救われるように、今後も3次、4次募集が行われますようよろしくお願い申し上げます。 さて、日本銀行熊本支店が11月8日に公表した熊本県の金融経済概観では、熊本県内の景気は、供給面の制約緩和や復興需要の顕著化が進むもとで着実に持ち直しており、景気は近いうちに回復に転じると見込まれますが、その後の回復のテンポは、復旧の担い手確保や復興需要の本格化による面が大きいと見られています。 地震から7カ月が過ぎ、交付決定もなされ、これからの復旧に当たられる事業者も多々あるかと思われます。この間、事業休止を余儀なくされ、収益の多大なる損失があったのは言うまでもありません。中小企業等の経済活動の停滞は、地域経済に対し、大きな影響を与えるものと考えます。 今後、グループ補助金を活用した事業者の方々が事業を再開し、地域を支えていくことになりますが、その経済活動は、市町村のまちづくりにとっても密接な関係があると考えます。 このような観点から、復旧、復興に取り組む中小企業者の支援について、今後市町村とどのように連携していくのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  〔商工観光労働部長奥園惣幸君登壇〕 ◎商工観光労働部長(奥薗惣幸君) 震災により、地域のきずながクローズアップされました。御指摘のあったグループ補助金ですが、認定を受けたグループのうち、約8割が地域の雇用やコミュニティーの維持を目的とした地域の基幹産業集積型であります。このように、地域に根差した企業同士がグループを組み、経営再建や地域の活性化に向けて取り組んでおり、市町村や商工会など地域が一体となってこれらを支援することで、各地域における復興の機運がさらに高まるものと期待しております。 一方、震災が、後継者不足等による中小企業者数の減少傾向に拍車をかける可能性があり、これに歯どめをかけるための対策の一つとして、新たな創業を促す必要があります。 創業支援については、平成26年1月に産業競争力強化法が施行され、これに基づき、市町村が創業支援事業計画を策定し、ワンストップ相談窓口の設置や創業セミナーの開催等を促進する制度が創設されています。このため、県としても計画の策定支援を行い、本年1月までに全市町村が策定を完了したところでございます。今後、市町村と課題を共有しながら、より効果的な支援を進めてまいります。 県としては、引き続き、中小企業振興基本条例の理念に基づき、国、市町村その他の関係機関と連携を図りながら、中小・小規模企業の支援に積極的に取り組んでまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) 商工観光労働部長にお答えをいただきました。 グループ補助金申請の約8割が地域の基幹産業集積型であるということ、また、熊本県の復興のためには、中小規模の事業者の再建がぜひとも必要であるということの御認識であります。 産業競争力強化法の施行後に、県内の全市町村が創業支援計画を策定し、ワンストップ相談窓口の設置や創業セミナーの開催を促進する制度が創設されたということですが、実際に機能しなければ何にもなりませんので、ぜひ市町村と連携して御支援をよろしくお願いいたします。 今回のグループ補助金によって、確かに、熊本県の事業者にとっては大きな夢と希望を与えていることができていると感じています。今までにはなかったグループ枠の病院や福祉施設等も今回認めていただいたのも、蒲島知事初め国会議員の先生方の国への強い働きかけがあったものと思われます。 先月、経済環境部会で、兵庫、大阪に阪神・淡路大震災からの復旧、復興への取り組みについて研修に行ってまいりました。この当時は、グループ補助金というのはなく、県債の発行であったり、銀行から借りた資金を基金にしたり、低利の融資を紹介したりすることでありました。 今回の熊本地震の被害に遭われながらも、補助金申請をまだされていない方も残っておられるのも事実であります。それには、事業主の高齢化や事業主自体の今後への不安等、複雑な要素があることも事実であると考えられます。 この補助金が初めて活用された東日本大震災から5年が過ぎ、グループ補助金によって多くの事業主の方が復旧されたと伺っています。津波によって全て流され、高台に造成された地区に移転するために、5年たった現在もグループ補助金の申請が行われていると聞きます。ただ、グループ補助金を活用して復旧したにもかかわらず、廃業に追い込まれたという話も聞いています。今回の熊本地震で被災され、グループ補助金を活用し、懸命に頑張っておられる皆様がそうならないように、熊本県におかれましても、市町村や商工会ときめ細やかな連携を図られ、事業主の方々がもとの元気を取り戻され、熊本県や地域の活力源となられ、復旧、復興の先頭に立たれますことを心から願って、次の質問に移らせていただきます。 八代海湾奥部の今後についてであります。 平成15年6月に有明海・八代海再生対策特別委員会が発足し、13年が経過していると伺っております。私も、昨年、当委員会に所属し、県内外の現地視察をしてまいりました。県外視察で訪れた東京湾内にある葛西の人工島の規模の大きさには圧倒されました。今回の質問は、特に、我が宇城市に面しております八代海湾奥部についてです。 写真を持ってまいっております。(パネルを示す)皆さんの手元にあるかと思いますけれども、もう非常に浅くなってしまって、海底面のほうが住宅地よりかなり高くなっております。向こうの岸に、干潟のときに歩いていけるようなんですけれども、実際、歩こうとしたら腰まで埋まるようなところであります。 宇城市の中でも八代海湾奥部に接する不知火町、松橋町、小川町、八代郡氷川町は、約400年前から干拓が行われ、昭和42年の不知火干拓の完成により現在の地形が形成されています。そのため、海抜ゼロメーター地帯が広がっている地帯であります。平成11年には、台風18号の影響により、不知火町松合地区で高潮災害が発生し、12名のとうとい命が失われました。日本でも有数な湾が奥まった地形は、海のほうからは、海底の土砂を運んできて、河川からは、大雨時には濁流とともにたくさんの土砂を運んできます。 県の調査によりますと、年間、沖合へ28メートルほど干潟化が進み、年々浅海化が進んでいくとのシミュレーションも出ております。以前は、堤防から泳いでいる魚が見えるほど透き通っていたという話も聞きますが、現在では、悲しいかな、濁った海水と堆積した土砂しか見ることができません。エビやカニで豊漁だった豊かな漁獲量も今では激減し、松合地区では漁業で生計を立てている方は数えるほどになってしまいました。もう一度あのきれいで豊かだった海に戻ってほしいという漁師の皆様の願いは切実です。現在までさまざまな取り組みを行ってこられたことも十分承知しておりますが、なかなか解決の糸口を見出せていないのが現状ではないかと思います。 先月、有明海・八代海再生及び地球温暖化対策特別委員会の坂田委員長初め委員の皆様が、地元選出の国会議員や関係省庁と意見交換をされた中で、八代海湾奥部の今後について、地元から提案されている幾つかの対策のアイデアの検証とともに、国による主体的な調査研究について求められたと伺っています。私も、この場所で暮らす人間として、この地域に課されている大きな問題と捉えています。安心、安全で暮らしやすい場所、また、豊かな海への復活など、大きな問題であります。 そこで、県におかれましては、現在湾奥部の状況をどのように認識され、また、再生に当たって今後どのようなお考えをお持ちなのか、環境生活部長にお伺いいたします。  〔環境生活部長田代裕信君登壇〕 ◎環境生活部長(田代裕信君) 八代海湾奥部は、議員御紹介のとおり、その特殊な地形から土砂の堆積の進行が避けられず、将来にわたって干潟の上昇や拡大が予想されております。 現在、その広大な干潟は、ムツゴロウなど希少種を含む多様な野生動植物の生息、生育の場としての役割を果たしていますが、一方、海水の交換の悪化や塩分濃度の低下等により、漁業生産に適さない環境になっております。 今年度、県では、有明海及び八代海等沿岸の市や町、漁業団体等との意見交換を重ねておりまして、この中で、湾奥部の地元からは、災害への不安の声、土砂堆積による海域環境への悪影響を懸念する声などがあっております。 これまで、一帯の海岸堤防の整備や排水機場の機能強化等に取り組んできたところですが、こうした地元の懸念にも対応して、土砂の堆積状況等を注視しながら、必要な対策を進めることが重要と考えております。 今後とも、県議会や地元自治体、漁業団体等と十分な議論を行いまして、国に対しましても、環境の変化等に関する調査研究の実施や効果的な対策の検討を求めてまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) 湾奥部について、環境生活部長にお答えいただきました。 この地域は特殊性があり、土砂の堆積が拡大しやすい場所で、今後、堆積状況を注視しながら、必要な対策を進めることが重要だと認識されていると受け取りました。本来なら、不知火干拓の完成後にこの湾の干拓が計画されたと思います。これまで地元の皆様と意見交換をする中で、住民の方たちは、地震での津波の心配や台風のときには高潮の心配で眠れぬ夜を過ごされているのが現実です。年間に28メートルも干潟化が進んでいけば、三角、天草方面にも影響が拡大すると思われます。このような状況が続いていかないように、何らかの手を打たなければならないと私も思います。 安心、安全で暮らしやすく、豊かな海への思いは、この地域で暮らす人々にとりましては長年の大きな願いであります。ただ、これらの解決のためには、大きな問題があることも十分理解しております。有明海・八代海再生及び地球温暖化対策特別委員会や、また、国、県、地元市町村や漁業団体と地域の皆様との連携が不可欠だと思います。これからの10年後、いや、20年後、もっと先の熊本県の将来のためにも、解決しなければならない大きな課題だと思います。将来、後世の人たちから、先人たちはいい仕事されたねと言われるように、県が中心となってお取り組みいただきますようお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。 次に、中山間地域における農地等災害復旧事業への支援についてであります。 私の地元である下益城郡美里町は、先人たちが苦労の末に建造した農業用水路やため池を利用して水田が開かれ、美しい棚田が広がっています。例えば、通潤橋の原型となったと言われ、県の重要文化財に指定されている雄亀滝橋や56カ所のため池等の農業用水利施設が数多くあり、今も現役の農業施設として利用されております。 これらの農業施設と棚田を活用し、水稲や特産のキュウリ等が栽培され、その風景は、まさに日本の中山間地域を代表するような美しい農村景観を形成しています。これらの施設を含めた棚田を守り、後世に伝えていくことは、我々に課せられた課題だと認識しております。 その美しい棚田は、今回、熊本地震に遭遇しました。もちろん、地震による被害も発生しましたが、甚大な被害を受けた阿蘇や上益城地域と比べると軽傷であり、農家も胸をなでおろしたところでありました。 しかしながら、6月の梅雨前線豪雨では、時間雨量100ミリを超える豪雨が発生しました。このごろは、特に、雨の降り方が昔と随分変わってきたと感じております。そのような中、ゲリラ豪雨という形容もされているように、時間雨量100ミリの豪雨とは、まさにそのような雨ではないかと実感しました。殺気さえするような雨でありました。 その豪雨が過ぎ去った後、田植えが終わった美しい棚田には、至るところで崖崩れが発生し、被災前の美しい棚田の風景は一変してしまいました。美しい緑色で彩られた棚田には、大小問わず、茶色の地肌がむき出しになったのり面崩壊が至るところで発生しました。この姿を目の当たりにして、農家は大変落胆しておられます。これまで、先祖代々から引き継ぎ、耕作をしながら管理をしてきた農地が、一晩のうちに変わり果てた無残な姿となってしまったのです。農家の人にお話を伺うと、もうことしで農業をやめようと思っとるとか、自力での復旧は無理だと、半ば諦めの言葉が聞かれる状況でありました。 私は、平たん地域農地ももちろんでありますが、美里町のような中山間地域の農地についても大変重要であると認識しています。平たん地域と比べると生産の効率は落ちますが、特産品の栽培や国土の保全、景観の形成など大きな役割を果たしており、今後ともきちんと保全していく必要があると考えています。 今後、町が事業主体となり、災害査定等の災害復旧事務を行うことになりますが、御承知のとおり、美里町を初め中山間地域の自治体は、財政的にも組織的にも小さな自治体が多く、復旧がスムーズに進むのか、大変心配しております。 そのような中、今回の災害は激甚災害に指定され、町の財政的な負担はかなり軽減されるようですが、こうした災害の中には、国の補助制度に該当しない小規模な被害箇所が相当数あると聞いています。また、被害箇所数が膨大で今月中に災害査定を終えることができるかどうか、町は大変心配しています。 このような中山間地域の災害復旧について、県として、どのように支援していかれるのか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長濱田義之君登壇〕 ◎農林水産部長(濱田義之君) 美里町では、6月18日からの梅雨前線豪雨によりまして、農地や農業用水路の崩壊など、3,000カ所を超える被害が発生しております。 こうした事態を受けまして、県としては、発災直後から国に対して激甚災害の指定を強く働きかけてまいりまして、8月18日には指定を受けたところでございます。これによりまして、災害復旧事業に係る補助率が95%近くまでかさ上げされるとともに、災害査定設計書の作成経費の2分の1が国庫補助で賄われます。さらに、町が独自に行います復旧額が13万円から40万円という小規模の災害復旧事業につきましても、手厚い普通交付税措置のあります起債の活用ができるようになります。こうしたことで、激甚指定によって災害復旧に係る地元負担は大幅に軽減されると考えております。 こうしたこととあわせまして、美里町の特徴として、今回、あぜやのり面の小規模な崩落が多数発生しております。150メートル以内の複数の小災害を1カ所にまとめて申請することで復旧額を40万以上にして、国の補助事業で実施できるよう技術的な指導、助言も行っているところでございます。 この結果、現在、美里町の災害査定の申請件数は329件という膨大な量に上っております。このため、町に対しましては、県として、宇城地域振興局に専任の支援職員を配置いたしまして、きめ細かな技術的支援を行っておりまして、現在、12月2日現在で143件が完了している状況でございます。 しかし、議員御指摘のとおり、このままでは年内の災害査定の完了が危ぶまれ、来年1月末までの補助率かさ上げの申請に間に合わない事業箇所が出てしまうというおそれもございます。このため、県では、農林水産省及び財務省と協議を重ねまして、今般、災害査定設計書作成の簡素化を実現していただきました。具体的には、平面図は既存の航空写真を活用できること、測量作業は省略できること、復旧工法は図面を作成せずに標準工法の採用によるパターン化で済ませることなどでございます。この大幅な簡素化と迅速化によりまして、年内に査定を完了するよう現在追い込みをかけてございます。 今後とも、市町村の財政的、人的負担に十分配慮しながら、国、県、市町村が一体となって、一日も早く農地農業用施設が復旧できるよう取り組みを進めてまいります。  〔末松直洋君登壇〕 ◆(末松直洋君) 農林水産部長にお答えいただきました。 美里町では、まず、3,000カ所を超える被害が発生しているということに驚かされます。災害査定の件数も329件と膨大で、2日現在、まだ半分も査定が終わっていないということですが、国との話し合いの中で、査定設計書の大幅な簡素化が認められ、年内に査定が完了するように進められているということであります。中山間地の農業も、平たん地の農業と同じように、熊本県の農業の発展のためには重要不可欠であると御理解していただいていると思い、安心いたしました。平たん地と比べて生産性や効率性では平たん地とは差がありますが、人一倍御苦労なされて営農されていることは事実であります。 今回は、農地の被害も甚大なものであったのですが、ため池や水路の被害も多くの箇所で発生しました。水は上流から下流へ流れていくものです。活力ある中山間地域の農業や林業があってこそ、平たん地の人々は恩恵を受けて、人は営みや耕作を行い、ひいては大海原への豊かな海の恵みを与え続けてきたのであります。 現在でも中山間地域の農業が厳しいながらも引き継いでいかれているものは、やはり先祖から引き継がれてきた土地を自分の代で荒らしたくないという家族の強いきずなや文化の継承といったものであると思います。水田農業が破綻すると、一気に中山間地域は荒れ果ててしまいます。確かに、国や県が勧める大規模化は難しいかもしれませんが、ぜひとも中山間地域農業にも光が当たるような政策を、今後ともぜひ、私も、大地を耕す一人として、仲間として強くお願いいたします。 それでは次に、平成28年熊本地震復興基金についての要望であります。 今回、熊本地震において、国、県で、被災された皆様に対し、さまざまな支援のメニューがつくられました。家屋の解体を初め、応急仮設住宅、グループ補助金、経営体育成支援事業など、これらの多くにより県民の皆様が次のステップに向かい、希望を見出すことができていると考えています。しかし、それでも、どのメニューにも当てはまらないものが多くあることがわかってきました。そんな中でつくられたのが復興基金であります。東日本大震災でこの取り崩し型の東北9県で1,960億円の基金が開設されました。 今回の熊本地震の復興基金も同じく取り崩し型で、特別交付税の510億円と被災地支援宝くじ交付金の13.2億円の合計523.2億円であります。復興基金の使途としては、蒲島知事が提唱されております復旧・復興の3原則、痛みの最小化に向けた被災者等の負担軽減や地域活動の拠点施設への復旧支援、次に、創造的な復興に資する地域の防災能力の向上、次に、復旧、復興を熊本のさらなる発展につなげるための被災した産業の復旧や観光拠点づくりへの支援ということが挙げられます。 その中で、今回、1次配分が250億円程度が計画されています。その中身は、被災宅地復旧支援、被災者生活支援、公共施設復旧、未指定文化財等で、地域コミュニティー再建に不可欠な施設への復旧が挙げられます。 今回、12月定例会に市町村実施分の22.5億円と県実施分の3.4億円が提案されています。その中でも、中山間地域の棚田の斜面や宅地被害ではたくさんの方たちが自力での復旧は難しいと頭を抱えておられます。農地斜面の復旧も諦めて...... ○副議長(小早川宗弘君) 残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。 ◆(末松直洋君) (続) これを機に農業をやめたいと言われておられる方もお聞きします。宅地被害も同様に、住宅再建だけでも大変なところに宅地復旧まではとても無理だと思われている方がたくさんおります。今回、これによりたくさんの方が救われると思いますが、支援の対象や範囲など丁寧な御説明をお願いいたします。 もう一つは、地域コミュニティー施設の復旧支援の地域コミュニティー再生のメニューの件でありますが、公民館や消防団の詰所はわかりますが、文化財に指定されていない神社やほこらや記念碑などは多くの県民の心のよりどころであり、現在まで地域の人たちによって大切に守られてきました。今回、この部分について、私も十分説明を受けたつもりでありますが、いま一つ理解しにくい部分があるのも事実です。今回の受け付けは市町村だと聞いていますが、市町村によっては、この問題の捉え方が大きく異なってくる可能性があると思われますので、今後、県として、市町村への説明を丁寧にしていただくよう要望いたします。 これで私の一般質問をさせていただきましたが、終わりますが......(発言する者あり)ありがとうございます。 皆さん、覚えていらっしゃいますでしょうか。地震前に、世界で一番貧しい大統領が来られたときに、ウルグアイ元大統領ですけれども、ホセ・ムヒカさんの言葉が思い出されます。「世の中で貧しい人とは、物を少ししか持たない人ではなく、どれだけたくさん持っても満足しない人のことである」と、今回の大きな災害を受けて、人として、人や物に対する考え方や価値観が大きく変わったきっかけになったのではないでしょうか。蒲島知事が目標とされる県民幸福量の最大化も、物やお金だけにとらわれるのでなく、心身ともに豊かで、地域の皆さんと明るく元気な暮らしを続けていけるような社会を目指しておられるのではと思います。 今後も熊本県民ファーストで議員活動を行ってまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。 これで今回の質問を終わらせていただきます。 最後まで御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(小早川宗弘君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明8日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第4号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時11分散会...